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*パンダの調教*【R18】

第2章 秘密





(さっきのパンダが…半田くん?)

もう訳が解らなかった。
彼は私をからかっているのだろうか?
でもさっき私がパンダを見たのは事実だし…


「お願いします……さっき見た事…誰にも言わないで下さい」

「……、」

泣きそうな顔でそんな事を言ってくる半田くん。
誰かに話すも何も、私自身まだ信じられないのだけれど…

無言の私に焦ったのか彼は掴んでいた私の両肩を放し、その場に膝をつく。
そして地面に付く程、深々と頭を下げた……所謂"土下座"というやつだ。


「ちょっ…!」

周りに人がいないとはいえ、突然そんな事をされ慌てる。
土下座なんてされるのは生まれて初めてだった。


「は、半田くん…顔を上げて…!」

「お願いします…!もしこの事が他の人にバレたら…っ」

私の言葉など聞こえていないのか、そう頭を下げ続ける彼。
さっき見た事がもし現実だったとしても、私は誰かに話すつもりなどない(というか、話したところで信じてもらえないだろう)。
もう一度そう告げようとした瞬間、彼はようやく顔を上げた。


「お願いしますっ…、俺…何でもします!織田先輩の言う事何でも聞きますから…!」

「っ…」

縋るような視線を向けられ、ドクンと心臓が跳ねる。
そして沸々と沸き上がる加虐心…

私は無意識に腰を屈め、彼と視線を合わせていた。


「…そんなに秘密にしてほしい?」

「っ、はい…」

「私の言う事、本当に何でも聞く?」

「はい…!」

私の問いに迷わず頷く半田くん。
従順なその態度に口元を綻ばせる。


その時の私はどうかしていたのだ。
仕事のストレス…母親からのプレッシャー…
更に目の前で起きた有り得ない事…
もう頭の中はグチャグチャで、まともな思考回路など持ち合わせていなかった。


「じゃあ黙っててあげる」

「っ……ほ、本当ですか!?」

「その代わり…」


――今日から半田くんは、都合のイイ私だけのペットだよ?


耳元でそう囁けば、ぴくりと反応するその体。
クスリと笑いながら空を見上げると、綺麗な満月が私たち2人を照らしていた…



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