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*パンダの調教*【R18】

第2章 秘密





「半田くん…何度言ったら解るの?」

「す、すみません!」


このやり取り、もう何度目だろう。

目の前でぺこぺこ私に頭を下げる彼――半田 優真は、入社2ヶ月目の新人だ。
部長の命により、私が彼の教育係になって早ひと月。
こんなやり取りは日常茶飯時で、周りの社員たちもクスクス笑いながら私たちを見守って(?)いる。

ちなみに今日は、作成してもらった書類の誤字脱字の酷さにお説教しているところだった。


「提出する前に、誤字脱字が無いか何度も読み返すよう言ったよね?」

「はい…」

「じゃあどうして出来てないの?」

「すみません…」

「ハァ…」

私は別に謝ってほしくてこんな事を言っている訳じゃない。
彼があまりにも同じ間違いを繰り返すからだ。

それに彼の失敗は仕事だけにとどまらない。
私に気を遣ってコーヒーを淹れてくれた時なんか、それを私のお気に入りのスーツにぶちまけた事だってある。
そんな失敗、数えだしたらキリが無い。
勿論彼に悪気が無い事は解っているし、仕事に一生懸命なのも認める。
…ただ全て空回りしているが。



「…もういいや。書類は私が作っておくから、半田くんはコピーでもとっておいて」

「……、はい」

しょんぼりと落ち込んだ様子で、彼はとぼとぼとコピー機の方へ歩いていった。
そんな態度を取られると、まるで私が彼を虐めているみたいじゃないか。



「杏奈ってば、また半田くん虐めてるー」

「ちょっと彩香…変な事言わないでよ」

半田くんが去った後、私の元へやって来たのは同僚の彩香だった。
私たちのやり取りを一部始終見ていたのか、からかうようにそんな事を言ってくる。


「可愛い後輩なんだし、もうちょっと優しくしてあげたら?」

「ハァ…甘やかしたって彼の為にならないでしょ」

「相変わらず杏奈は手厳しいなぁ」

仕事なのだから当然だ。
新入社員とはいえここは学校ではないのだから、いつまでも学生気分でいられては困る。


「でも半田くんて勿体ないよねー。顔も結構イケてるし、背だって高くて性格もイイし。あの気弱なとこさえ無ければ絶対モテるのに…。彼女とかいるのかなぁ?」

「…興味ない」

「もぅ…杏奈はそんなだから彼氏出来ないんだよ?せっかく美人なのに」

「余計なお・世・話・で・す」



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