第13章 孤島の名探偵
つかつかと戯れている二人に近寄った太宰は真っ直ぐに乱歩の眼を見据えて話し掛ける。
太「乱歩さん、今の愛理ちゃんの考えていること分かりますか?」
乱「……僕が笑顔になってくれて嬉しい。」
太「愛理ちゃん?」
『あっ、当たってますっ!』
太「今している仕事は何で何割終わってると思いますか?」
乱「役人の護衛任務の案作成で七割。」
太「愛理ちゃん?」
『当たってます!』
太「じゃあ愛理ちゃん、乱歩さんに背を向けて。そうそう。では彼女が今日の夜ご飯何を食べるか分かりますか?」
乱「……!?分からない……。」
敦「えぇっ!?」
『えっと、肉じゃがを作ろうかと。』
太「ふむ、成る程。」
敦「今の質問に何の意味が…?」
きょとんとしている敦と愛理。
一方乱歩は苦虫を噛み潰した様な顔をして太宰を見ていた。
太「彼女を見ていれば些細な反応や此れまでの前例から推測が出来る。然し見ていなければ其れが出来ないから分からない、と云う事だよ。」
乱「つまり愛理の顔を見ないと超推理は使えないって事だね?」
太「はい。」
『あ、じゃあ先刻照れてたのは机にうつ伏せて顔が見えなかったから!?』
太「うん、そう云う事。其れは愛理ちゃんだけにそうみたいだね。」
乱「他の人のは顔なんて見なくても分かるもん。」
敦「そんな仕組みが有ったんですね!」
『へぇー。良い事聞いた!!』
乱「愛理、今僕に顔を見せてる事忘れないでね?」
『あっ、そうだった……。』
乱「僕に悪戯しようなんて百年早いよ!仕掛けたって顔見ればすぐ分かるんだから。」
『じゃあ今何考えてるか分かる?』
乱「当たり前だよ!
名探偵の謎が解けて嬉しい。」
END
〈作者より〉
終わらせ方が不明でした…。
いっつも迷うんですよねー、終わらせ方。
あ、人生もか。