第12章 卵の君
「あー、此れは愛理ちゃんじゃないと解決出来ない事だよ。」
横からニョキっと顔を出して来たのは甘味好きが功を奏しとても仲良くなった乱歩さんだった。
『そうなの?』
「うん。国木田、あんまり理想ばっかり追いかけてると現実のものも手に入らないよ。」
「……ですが!未だ未成年ですし矢張りこう云った事は親御さんに挨拶して順序を通して…」
「まっ、兎に角僕は忠告したからね。時間掛けてると僕が取っちゃうよ?」
「ッ!?」
すっかり置いてけぼりになってしまった。
乱歩さんは私に手を振ると定位置に着き面白そうな事件は無いかと新聞を読み始める。
国木田さんと二人になった処で先程引っかかった処を尋ねる。
『あの、親に許可を取らなきゃ働けないんですか?挨拶でしたら何時でも…』
「嗚呼、出来るだけ早く頼む。お前を他所の男に取られる前に俺のものにしてしまいたい。」
『へっ?其れって?』
「一目惚れだ。あの店で働いていた時からずっとお前に会いたくて通っていた。もし、同じ気持ちならば両親に合わせてはくれないだろうか?」
『えっと、其処で何故両親が出て来るんでしょうか?』
「?交際する前に許可を得るのが普通だろう。」
あぁー、先刻話してたのってこの事だったんだ。
矢っ張り真面目な人なんだなぁ。
『じゃあ今から行きましょう!!』
「はぁ!?」
『早い方が良いんですよね?…其れに、私もそんなに待てませんし…。』
「………敦!与謝野先生!留守を御願いします!!」
「分かりました!」
「今日は戻るんじゃないぞ、国木田。」
「いえ!そう云う訳には行きません。」
「ったく、何処まで真面目なんだか。」
〈おまけ〉
-移動中の国木田の心中。
(くそっ。此奴はなんて可愛いんだ。嗚呼、手を繋ぎたい。抱き締めたい。しかし御両親に挨拶をする迄は……)
能天気に嬉しがっている愛理を他所に、一人悶々と悩む国木田であった。
END
〈作者より〉
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