第1章 日常
「及川ァ…テメェはそんなに早く逝きたいようだなァ…」
「木兎さん…?」
地を這うような低い岩泉の声に冷たい赤葦の声。いつもならここで燭台切も出てくるのだがどうやら許しは貰えたが心が重傷なようで何も言ってこない。
「えっと…あかーし?岩ちゃん?」
面倒な事になると確信した彼女は2人に声をかける。
「安心しろ。桃佳証拠は残さねぇ」
「大丈夫。すぐに終わらせるから。」
「いや、そうじゃなくてね?あかーしには髪やって貰いたいし岩ちゃんには持ち物確認してもらいたいなって…」
そう言って2人の背中を押しながら部屋を出た。
もちろん後ろの2人にさっさと帰れと言う目線も忘れずに。
「あかーし?まだぁ?」
「桃佳が動くからでしょ。もう終わるから。…はい。おしまい。」
「ありがと!あかーし!それじゃあ行ってくる!」
赤葦のいってらっしゃいを聞いて落ち着きなくドタバタと玄関に向かうとそこで待っていたのは岩泉。
「ほら、確認しといたぞ。」
「ありがと!忘れ物なかった?」
「定期忘れてたわ。ボケ。」
「ありゃ?ありがとー!岩ちゃん!」
「ンな事より光忠どうにかしろ。」
「あーりゃ。まだ凹んでるの?…みっちゃぁぁん!桃佳、夕餉はチゲ鍋がいいなぁ…みっちゃんがスープから作るやつ!よろしくね!」
そう叫んで玄関を飛び出して行った。