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妖怪学校なのに、担任が人間なんですが。

第2章 全員揃わないのですが。


「え!?骨折!?」

お年寄りの骨折なんて最悪だよ!治りが悪くて、長引くヤツじゃねーか!最悪寝たきりだよ!
困惑する僕を容赦なく狸塚君がぐいぐいと引くので、ついて行ってみることにした。何処に行くんだろう。
それに合わせて佐野君と泥田君もついて来る。

「おう。なんでも、九十九が謹慎食らってる時にやっちまったらしくてよ。年齢もかなりなもんだから、ほっぽいて学校に行くなんてできない!ってさ」

会ったことねーんだけどなと半笑いで教えてくれる泥田君の様子からすると、結構盛大な骨折だったらしい。
なんてこった...。そりゃあ心配で、学校に行くに行けないわけだ。

「そ、それはお気の毒に...」

それしか言いようのない情報に、どうリアクションしていいか分からず、なんとも微妙な声色になっちゃった。
そんな僕のそばで、佐野君は欠伸をしながら、眠いと呟いた。うん、なんかごめんね。でも勝手について来たの君だからね。

「そんなんだから、謹慎部屋から出て来ないんだよ」

これでもかってくらい大きなため息をついた佐野君は、不思議なことを言った。

「謹慎部屋?」

聞いたことのない言葉に首を傾げた。何その物騒な名前の部屋。謹慎専用ってことだよね。思わず足を止める僕に、狸塚君はそうだよ!と笑いかける。

「職員寮にある、普通の部屋なんだけどね。妖術が使えないように封呪がかけてあるんだ!」

え!職員寮にあるの?!知らなかった!
普通?!名前からして普通じゃないよ!
絶望してます!という顔をする僕を、ケラケラとおもしろそうに見ている狸塚君。ホント他人事だよね。

「ま、説得頑張れよ」

そう言いながら近づいて、いい笑顔で僕の肩をたたく泥田君と佐野君。
ん?どういうこと?

「アイツよりも、アイツのじーちゃんの方がめんどくさいからなー」

そう言い残して颯爽と去っていく三人。
どうやら到着したらしい、目の前には職員寮。
つまり、一人で行けと?
う、嘘でしょ~。着いて来てくれるんじゃないの~?
呆然と楽しげに去って行く三人を見送っていると、背後から声をかけられた。

「あら、見たことない方ねぇ」

びっくりして勢いよく振り返ると、そこにいたのは品の良さげな着物の似合う京美人。
え?誰?って、そうじゃなくて!

「は、はじめまして。僕は安倍 晴明(あべ はるあき)と申しまして...」
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