第6章 平穏な日々に嵐はやってくる~トド松
「なんだよ、カワイ子ちゃんて猫のことかよぉ~~」
おそ松が隠す様子もなく大きく項垂れる。
するといつの間にそこにいたのか、おそ松たちの背後からぬっと一松が顔を出す。
「ミケ子・・・いらっしゃい」
みゃ~
大人しく抱かれていたミケ子が小さく鳴く。
一松のことわかるのかな?
自分を拾ってくれた恩人だもんね。
一緒にいる時間はまだまだ短いのに。やっぱりミケ子、天才猫かも?
ミケ子を一松に渡すと、嬉しそうにミケ子の頭を撫でる一松。
ホントに猫好きなんだなぁ。
・・・まぁ一松もすぐ下りてこなかったけどね!
「十四松、おそ松とカラ松とチョロ松のぶんのケンダ、食べていいからね」
「マジすか! ヤッターーぁ!ハハーー!!」
一松はミケ子に免じて許してやろう。
「でも姉さん、このケンダは、カラ松兄さんが唐揚げ好きだからって、買ってきたんでしょう?」
「え、オレ?」
「そのつもりだったけど、なんかもういいかなって」
「えっ・・・」
じとーっとした目で上三人の松を睨みつけていると、奥からパタパタともう一つ足音が近づいてくる。
「ナス子ちゃん、いらっしゃい。 ごめんねぇ、トイレに入ってたもんだからすぐ出られなくて」
「松代さん、こんにちは。 いえいえ、トイレはしょうがないですよ。 あ、これ、松代さんと松造さんと、一松十四松トド松の5人で食べてください。15本あるので5人だとちょっと多いかもしれないですけど」
ニコニコしながら松代さんにケンダの袋を差し出す。
「あらまぁ、ケンダじゃない。 美味しいのよねぇコレ。でもどうしたの?急に」
「あ~~気にしないで下さい。 えーっと、普段お世話になってるお礼っていうか、そんな感じです」
「そうなの?気が利くのねぇ、さすがナス子ちゃん。 お礼に息子を一人あげるわ」
「いえ、結構です」
この台詞、このやり取り、一体何度目になるのか・・・。
顔を合わせて会話をする度、なにかにつけて言ってくる。
どうしても6人のうちの1人でも私に押し付けたいらしい。