第1章 マイペースな猫のように【皆木綴】
「綴くん綴くん」
彼女は愛おしそうに呼ぶから、
「なんすか?」
俺はその声に反応する。
「綴くん膝枕~」
こうやって強請(ねだ)ってくる辺りとか年下っぽいな~とたまに思うがそれも嬉しく感じる。
「俺、今大学の課題やってるんすけど……」
少し意地悪してみる。
「じゃあいい……三好先輩に膝枕してもらう」
むぅ…と頬を膨らませてそう言う彼女
「ちょ、俺の事、嫉妬させたいんすか?」
相手の背後から抱きしめては三好さんのところに行くのを引き留める
「だって、綴くんが構ってくれないから」
「もうちょっとで終わりますから」
膝枕はその後でな、と彼女の耳元で囁く
「そっかー…早くしないと気ぃ変わるよ?」
そう、彼女はマイペースである。
「ちゃんと課題終わらせるから、ちょっと待ってて」
待たせる、と言っても課題自体はそこまで残っていないわけで すぐに終わりそうな量だ。
「綴くん頑張ってー……」
俺のベッドに寝転がればすやすやと無防備に眠ってしまう彼女。
「あぁ、もう……なんでそんなに無防備なんだよ。課題終わったぞ?」
そう言いながらも彼女を起こす。しかし、無防備な寝顔なども可愛いとは思う。
「つづりゅきゅん……」
寝起きのまだ整っていない声で俺を呼ぶ。
「可愛すぎっすよ……」
思わず抑えられなくなり彼女の唇に自分の唇を重ねる。