第20章 伏せ魔の時間
私たちが見上げるのは…。
山頂ホテルの裏側。絶壁の崖。
まず侵入不可能な地形ゆえ、見張りはいない。
つまり、コロ先生の策は、看病に残した2人以外の動ける生徒全員で、このホテルに侵入し、敵から治療薬を奪うこと。
私たちは、裏山で鍛えたロッククライミングを駆使し、烏丸先生の指揮のもと、ホテルに潜入する。
コロ『敵もおそらく客のフリをして襲ってくるでしょう。気をつけて下さいね。』
このホテルでは、隔離された地形ゆえ、違法な取引の場
や、金持ちの子供たちが夜な夜な、酒やドラッグに手を出すような場所らしい。
だが、その心配とは裏腹に順調に進めていた私たちの内、数人は油断したんだろう。
寺坂君と吉田君が、烏丸先生の前に出た瞬間、通りすがりの男がポケットから何かを取り出す動きを烏丸先生が見逃さなかった。
すぐさま2人を後方へ引き戻し、自身は毒ガスを吸ってしまう。
毒使い『ほぉ…。象をもおとすガスで、まだ動けるとは。だが、これで分かった。交渉は決裂。ボスに報告をしに…、何ッ…?』
私たちはすぐさま通路へ向かう退路を塞ぐ。
烏丸『お前は甘かったな…。俺たちを見た瞬間、何もせず報告に帰るべきだった。
敵を見つけたら、すぐさま退路を防ぎ、増援を呼ばせない。俺の教えた事だ。』
そして、ズコォン!
鈍い音を出し、烏丸先生が毒使いの男を気絶させた。
磯貝『烏丸先生!肩を貸します。』
磯貝君の肩を借り、何とか歩く烏丸先生。
烏丸『すまない。30分で戻す!』
私たちは次の階へ進む。