• テキストサイズ

風向きが変わったら【ヒロアカ】

第12章 決意と躊躇と敵とヒーロー




相澤が倒れるのとほぼ同時刻。
敵のカウンターを受け、自らの身体を塵にしてしまった13号が倒れた。
早く行け!!という言葉を投げかけてくるクラスメート達に急かされる形で、飯田が駆け出した。


「教師たちを呼ばれては、こちらも大変ですので」


その飯田を追いかけ、敵が進路を妨害しようとワープゲートを出現させる。


(皆を…僕が!任された!クラスを!!僕が!!!)


ーーーけれど


「行け!早く!!」
「…っ障子くん!」


ワープゲートに障子が覆い被さり、飯田の進路が切り開かれる。
くそっ!と口走った敵がさらに背後から迫る気配を感じながら、飯田は振り向かずに駆け続ける。


ーーー本当に、置いていっていいのか?


「……くっ……!」


色んな迷いが思考を奪い、普段よりもスピードが出ない。
視界に入り込んでくる黒いモヤに、鼓動のリズムが荒れ、呼吸がしづらい。


「ちょこざいな、外には出させない!!」
(自動ドア!?蹴破るか!?蹴破れる厚さか!!?)


ガン!!とドアを蹴り飛ばすが、その反動の大きさに、分厚さを思い知った。
無理やりこじ開けようと扉の隙間に指をねじ込んで、力一杯横に押しのける。


(ダメだ、開かない…!重すぎる!)
「なまいきだぞメガネ!!」


消えろ!!と、徐々に「敵らしい」言葉遣いへと変貌していく敵が、飯田に襲いかかろうとした瞬間、敵の身体が反対方向へと引き剥がされていく。


「理屈は知らへんけど…こんなもん着とるなら、実体あるってことじゃないかな…!!」


行け、飯田くーん!!!
そう言った麗日は、敵の銀色のコルセットに触れ、力一杯宙へと放って投げた。


「……っ開け…開けーー!!」


ガタン、と。
飯田の叫びに応えるように、重くてビクともしなかった扉が、ゆっくりと左右に開いていく。
外へと飛び出そうとした飯田の脳裏に、一瞬。
不安そうな顔でワープゲートに取り込まれた向の顔が蘇った。


「………っ」







置いて、いくのか?











もし、間に合わなかったら









ザワッと胸騒ぎがして、足を止めてしまう。
振り向いた背後に、立っていたのは。


『行って、天哉』








重たい扉を、個性で押し開き








飯田に道を作った向だった






/ 768ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp