• テキストサイズ

風向きが変わったら【ヒロアカ】

第28章 凍える熱情





ーーー君の、力じゃないか!!!



まだ頭の中で緑谷の声が響いてる。
あんなになってまで俺を焚きつけてきやがった。
親父に金を握らされたわけでもねぇんだろう。
じゃなきゃこんなに。
俺の中に、あいつの言葉が重くのしかかってくるわけがねぇ。



ーーー少し、考える



そうは言ったが、そんなこと。
簡単に出来たら苦労してねぇ。
ぐちゃぐちゃな感情を背負って。
何もかも諦めて、何もかも犠牲にしてここまで来たのに。
頭が割れそうに痛い。
気持ち悪い。
見られたくない。
考えたくない。
考えたくない、考えたくーーー



<<美男美女対決ーー!!喜べマスメディア、視聴率がこっからうなぎ登りだぜィYEAHHHHーー!!!>>


「……!」
『…焦凍』


向がフィールド上に現れ、俯いていた轟がハッとして顔を上げた。
目を合わせて、数秒。
2人の間に沈黙が流れる。


「…向」
<<STARーーーーT!!!>>


開始地点から飛び出した向が、轟に向かって一直線に進んでいく。
轟が瞬発的に氷壁を出現させ、直前で急停止した向が足を振り抜き、氷壁を叩き割る。


<<おーっと向速攻!!今までに見せたことがないほどの闘争心がありありと伝わってくる!!>>


「…っ向、待っ…!」
『………!』


背後に瞬間移動してきた向が、轟に膝を立て衝突する。
その膝に向けて轟が冷気を放ち、氷が彼女の膝を覆う直前、向は反対側の足で轟を横殴りした。


「ぐ…っ……」


<<どうした轟、緑谷戦で見せた機敏さがねぇー!!>>


倒れこんだ轟を、向が操作しようと片手を向ける。
それを見て飛び起きた彼は、瞬時に向との間にフィールドを横断する、高く分厚い氷壁を立ち上げた。
視界を遮られ、向が無表情のままに距離を取り、自身の足を槍として飛び込んでいく。
彼女は、膝下まで氷壁に突っ込み。
後退しては、飛び込んでを繰り返す。
ガッ!ガキッ!!ガシャッ!!
という氷を叩き割る効果音が会場に響き、それを無言のままに繰り返す向が会場のモニターに映る。

/ 768ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp