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【ハイキュー】駒鳥が啼く頃、鐘は鳴る【木兎&赤葦】

第3章 秋霖 ②




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「八重様、お仕度のお時間でございます」

浅い眠りから目覚めさせる、太陽の光と穏やかな使用人の声。
八重が重たい目をこすりながら身体を起こすと、女中が窓を開けて新鮮な空気を部屋の中に取り込んでいる最中だった。

「・・・おはよう、京香さん」
「昨日はよく眠れましたか?」
「・・・・・・・・・・・・」

首を横に振る八重に、京香と呼ばれた女中は端正な顔に笑みを浮かべた。

テキパキと慣れた手つきでカーテンを整えている京香の後ろ姿をボーッと眺めながら、チェスナットブラウンのキャビネットの上に置いてある置時計へと視線を移す。

7時・・・か。
昨日ベッドに入ったのは確か9時前だったのに、身体がとても重い。

「英国風の朝食を用意してございます。少しは御気分も晴れましょう」
「・・・ありがとう」

八重が眠れなかったのは、この寝室のせいもあるだろう。

庭園に面した二階の洋間は、もともと日美子の部屋だったという。
英国貴族のカントリー・ハウス(田舎屋敷)を模した内装で、芸術家William Morris風の壁紙を使っていることから、前の主がかなり英国に精通した人物だったことが伺える。

───伯母様はもしかしたら、英国に憧れていたのかもしれない。

両親を思い出させる部屋には、懐郷の念が駆られるに十分だ。
父と母、そして十六まで過ごした英国への恋しさ。
そして、これから始まる木兎家での生活に対する不安で、昨晩はほとんど眠ることができなかった。




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