第2章 【番外編】想いの向こう側
薙景
「冗談は程々にしてよ、本当…流石の私でも笑えないわ」
解放された左手をグッパーしながら、私は肩を落とす。
轟
「…嫌だったか?」
薙景
「嫌ってか困るよね。こういうのに耐性無いからさ」
風利みたく少女マンガとかも読まないし。
薙景
「まぁ良いや、教室戻ろっか」
轟
「ああ」
教室に向かって歩き出す。
ブレスレットは…轟君の前で外すのもあれだから、取り敢えず着けたまま袖の中に隠した。
轟
「…八剣、俺は──」
薙景
「ん?何て言─(風利「姉さん!」…!」
教室から顔を出してた風利に呼ばれて、私と轟君は再度歩き出した。
轟君、さっき何て言おうとしたんだろ?
気になったけど、轟君もそれ以上言う事はなかった。
轟
(──俺は、“冗談”とは言ってねえからな)