第32章 カルマオチ⑤
『まぁ、起きて…。』
カルマの声がする。
『カル…マ…?』
頭が重い。目が腫れている。前を見ると広辞苑よりも分厚い卒業アルバムとアドバイスブック…卒業証書がある。
夢じゃ…ないんだ…。
横を見る。
同じように赤く目を腫らしたカルマがこちらを見つめている。
カルマ『大丈夫?』
『うんっ。泣くのはおしまい。コロ先生は、私たちを見守ってくれている。だから…』
ふわりと抱きしめられる。
クラス内サバイバルの意見で、私たちは国際宇宙ステーションをハイジャックし、コロ先生が爆発する可能性が1%以下という事を突き止めた。
このまま何事もなく終わる…そんな考えは甘かった。
世界各国による暗殺計画が念密に…用意周到に準備されていた。
コロ先生にもう一度会いたい!その思いで私たちは、学び舎へ進む。
コロ先生に会えたのも束の間、柳沢と二代目死神の奇襲に会う。
レーザー発射の28分前…私たちは全員で恩師の触手を強く握り、そして…。
光の粒子になって、私たちの恩師…コロ先生は消えていった。
卒業おめでとう。最後にそう言った気がした。
カルマ『そろそろ行こうか。卒業式。』
あれから7年と少し…。
今日は、旧校舎の掃除の日だ。
山道を登り切ったところで私は名前を呼ばれる。
『まぁ〜!まだ少し暑いね!大丈夫?連れて来て。』
ひなのが少し心配そうに尋ねる。
『うんッ!カルマがすぐそこの広場に車停めてるから、授乳する時は、クルマに行くし!』
磯貝『名前はたしか…』
桃花『るいまだよね!』
菅谷『そうそう!さすが、カルマの息子って感じだよな!』
前原『にしても。カルマそっくりだな!』
『でしょ〜!性格がカルマ似だったら、私、毎日2人にイジられまくるよ…。』
『俺、優しいはずなんだけどなぁ〜!』
そう言って私の隣から顔を出すカルマ。
カルマ『さ、掃除始めよっか!』
『うんッ!』
私とカルマは大学を卒業を機に結婚。
ただ…。籍を入れてから気づいたのだけど…。私のお腹には、すでに命が宿っていた。
幸せいっぱいの私は、ふと旧校舎の屋根を見上げた。
一瞬、コロ先生が微笑みながら触手を振っている気がした。
END
カルマ編ご愛読ありがとうございました。