第9章 約束をひとつ
「はい」
「え?なにこれ」
唐突に差し出されたのは、ドラマとかで見るような小さな子箱
指輪が入ってるような子箱
まさか
「え?カルマ、これなに?」
「開けてみたらわかるよ」
とりあえず受け取ってと言うから、その箱を手にとってゆっくりと開けた
予想通り、指輪が入っている
「カルマ・・・?」
「なんだか、わかるよね?」
「指輪」
「正解」
いまいち働かない頭のまま立ち尽くしていると、カルマの腕に抱きしめられた
「え、なに?プロポーズ?」
急じゃない?びっくりしたよ?
そういう素振りなんて何もなかったじゃんか
すごく驚いた表情をしてるあたしをみて
「ん、プロポーズ。結婚しよ」
カルマは悪戯が成功したような笑みを浮かべる
やけに愛しいと思った
「っ~・・・」
涙腺が緩んだのがわかった
嬉し泣きってこういうこと言うんだなって、頭の隅で思った
「ほら、返事は?」
「したい、結婚したい」
「よかった」
もともとカルマ以外の人と結婚なんてする気ないし
想像できないし
カルマじゃないと、嫌なんだよ
じわりと涙の滲んだ目をカルマに押し付けるようにあたしも抱きついた
ありがとう、嬉しい、幸せ、大好き
いっぱいいっぱいの感情が溢れる
カルマはよしよしと頭を撫でてくれた
「なんで、急に、・・・もー」
声は、涙声で震えていた
「びっくりしたでしょ」
「した」
「させようと思ったもん」