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【YOI・男主×ユーリ】扉の向こうとこちらのエロス

第1章 プロローグ


狭いバスルームの中、礼之は妙に冷えた頭とは対照的な熱と角度を無駄に主張する己の股間の昂りを、どうにか解消せんと握り、擦り続けていた。

下心が全くなかったといえばウソになる。
ユーリにホテルでの夕食を誘われた時点で、何となくだが予感めいたものを覚えると同時に「それでも、夕食が済んだら帰らなければ」という理性とのせめぎ合いを、脳内で繰り返していた。
しかしその後も決心がつかず、このままでは帰宅が日付を跨いでしまうという頃になって、漸く礼之は重い腰を上げると、努めてさり気なさを装いながら部屋を出ようとしたが、そんな礼之の腕に、ユーリの両手が絡みついてきたのだ。
力のかかっていないユーリの手を解いて、部屋を出ようと思えば出られた。
だが、普段中々素直になれないユーリの想いが、彼の感触と体温に籠められていたのを直に感じた礼之は、一度は手にかけたドアノブを最後の理性と共に手放すと、ユーリの身体をきつく抱き締めたのである。

その後は、互いに相応の準備を済ませエグゼクティブルームの広いベッドで、未熟ながらもユーリの唇以外の箇所にもキスや愛撫を繰り返した後で、礼之は抑えきれない己の欲望を遂げようと、自分の衣服を脱ぎ捨てた。
しかし、それまで熱に浮かされたような蕩けた緑色をしていたユーリの瞳が、礼之の勃起した股間の雄に気付くと、これ以上ないという程驚愕に見開かれ、首を横に振り始めたのだ。
「無理、絶対に無理。そんなの俺、壊される」
自分から誘っておいてその言い草は何なのだ、と怒りも湧いた礼之だったが、確かに受け入れる側は負担が大きいし、何よりも怯え切ってしまったユーリの表情を目の当たりにしては、それ以上強引な真似はできなかった。

そして今。
ユーリに「自分が出てくるまで絶対に近づいてはいけない」と言い残して部屋の入口近くにあるサブのバスルームに籠った礼之は、ひたすら下半身の熱を解放しようと若干どころではない虚しさを覚えながら、ユーリと知り合って以降すっかり『恋人』となってしまった己の右手で、自慰を繰り返していたのである。
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