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〖 IDOLiSH7 〗 なないろパレット

第21章 ココロ、重ねて


「百くん、と言うよりRe:valeとは前に飲料水のCMで一緒だったと思うよ。ほら、奏音って名前の新人女優。愛聖さんとも顔見知りらしいから、みんなでワイワイと楽しんでくれたら俺は安心だ」

奏音、だって?!

「あ~!彼女ね!だったらオレも顔見知りみたいな感じだから余計な緊張はしないかも!」

とりあえずの笑顔を貼り付けて、いかにも撮影が楽しみだと言うと監督は豪快に笑いながら次のシーンの準備を見てくると言ってセットの方へと歩いて行った。

「奏音、て・・・あの奏音だよな、きっと」

前にマリーがオレたちの楽屋にいる時にわざわざRe:valeじゃなく佐伯さんとお話したくてとか言って訪ねて来た、あの子。

それだけじゃなく、天やユキがマリーに警戒レベル上げとけって言ってた。

確かまだ新しめの、無理に配役捩じ込むような大きな事務所じゃなかったと思うけど。

なぜ、急に?

オレ、責任重大なんじゃね?なんて呑気な事を考えている場合じゃない。

とりあえずユキにも話して、それから龍にも話して・・・マリーを出来るだけ彼女と接触させないようにしないと。

っていうか、新米ナース役だとか言ってたって事は。

もちろん、マリーとの絡みはあるよな?

パラパラと台本を捲っていくと、龍が扮するドクターに緊急コールが鳴って、その代わりにナースが付き添って中庭に出るというシーンを見つける。

もし、撮影の中でなにかしてくるとしたら恐らくここがいちばん最初の接点だ。

オレはこのシーンには出ないからそばに居ることは出来ない。

どうしたらいいんだろう。

『あ、いたいた!百ちゃん次のシーンって私と一緒のだよね?リハが始まる前にちょっと打ち合わせしない?』

どうしたらいいのか考え込んでいると、ひょこっとオレをマリーが覗く。

「マリー、ちょっと・・・ちょっとコッチ来て!」

『え、あ、百ちゃん?!』

それまで腰掛けていた車椅子からザッと立ち上がり、マリーの手を掴んで物陰へと引き摺り込む。

『ちょっと百ちゃん、なんでこんな所に』

「シーッ!いいからよく聞いて・・・いま監督から聞いたんだけどさ、なんか今回の撮影で原作にはない役柄が差し込まれるんだって」

『新米ナース役の事?それなら私もスタッフさんから聞いたけど』
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