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*スーツを着た狼*【R18】

第11章 酔っ払いとの戯れ





(絶対酔ってる…)

だって先輩が、素面でそんな歯の浮くような台詞言う訳ないもん…


「お前って可愛いよな…」

「えっ…」

「なんか小動物みてぇで…つい構いたくなる」

「……、」

目を細めて私の頬を撫でてくる先輩。
Hをしている時以外に「可愛い」と言われたのは初めてだ。


「つーかお前さ…」

「…?」

「今日の飲み会で…山下にちょっかい出されてただろ?」

「…へ?」

"山下くん"というのはうちの部署の若きエース。
去年入社したばかりの彼は、明るく人当たりも良くてみんなから可愛がられている。
今日の飲み会では、たまたま私の隣の席に座っていたのだけれど。


「ちょっかいって…」

「わざとビール零してお前に世話してもらったり…」

「べ、別にわざとじゃないと思いますけど…」

「いや、あれは絶対ぇわざとだ…お前の気ィ引く為に」

「……、なんでそんな事…」

そう返せば、先輩は大げさな程に深い溜め息をついた。


「アイツがお前の事狙ってるからに決まってんだろ」

「ぁっ…」

再び私の首筋に顔を埋めてきた彼が、そこにちゅっとキスをしてくる。
そして…


「…お前は俺のもんだって印付けとかねぇとな」

「えっ…!?」

まさか彼は首にキスマークでも付けるつもりなのだろうか?
いくら何でもそれはダメだ。


「ちょっ…、先輩ダメです…!」

「…なんで」

「なんでって…そんな目立つところ……」

「…目立たなきゃ意味ねぇだろ」

「ぁっ…、ちょっと…!」

ちゅっちゅっと何度もそこに口付けてくる彼。
やめさせようと体を押し返してみるがびくともしない。


「先輩っ…、ホントにだめ…っ…」

「…じゃあ……俺の言う事何でも聞く?」

「…え……?」

今度は指先にキスをされた。
さっきまでとろんとしていた目が獣のようなそれに変わっている。


「…早く答えねぇと……」

「わ、わかりました!聞きます、聞きますから…!」

キスマークだけは絶対にダメ…
勢いでそう答えると、彼の口元がニッと吊り上がった…嫌な予感しかしない。


「交渉成立だな…今日は俺の言う事何でも聞いてもらうから」

「きゃっ…」

再び体が宙を浮いたかと思えば、今度は抱き上げられたままバスルームへ連れて行かれた。



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