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【進撃の巨人】愛を込めて花束を(R18)

第8章 理解が困難なアイツと私






何の裏もない、そんな笑い方、だった。

呆気に取られる私に歩み寄って、ポン。と頭に手を置く。



「解散が早かったら、今日も来る。」

「え、ちょっと……。」



それって、どういう意味?
飽きたから、解放してくれるんじゃ、ないの?



そう続けようとした私の声は、ジャンの声で、止められた。



「昨日出来なかったし、今日はいっぱいしよう、な?」



……あぁ、この、顔は。



悪魔の微笑み、だ。



引き攣る私を置いて、ジャンは部屋から出て行った。

凍り付いたように、その場から動けなかった私の頭の中は、ぐるぐると、同じ言葉が回る。



もう、逃げられない……?



ぶんぶん。と頭を振って。
その考えを追い出そうと必死になった。



……大丈夫。
ミカサの事が、好きで好きで堪らないジャンの事だ。

どうせ、すぐに飽きる。



飽きて、すぐに解放してくれる、はず。



それは希望的観測すぎて、アテにはならない。

ただの、私の願望、でしかないんだけれど。



そう考えでもしないと、冷静になれそうになかった。



何を考えているのかは、分からないけど、主導権がジャンにある以上。

私に出来るのは、隙を見て……
その、主導権を奪い返す事。

か、あるいは、早く、ジャンに飽きてもらう事。



……憂鬱過ぎて、大きな溜息が出る。



いつの間にか、私は明らかな負け戦さに乗り出してしまっていた。




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