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【進撃の巨人】愛を込めて花束を(R18)

第7章 ワナにハマった俺のせい?





「コップはどっちがいい?」



振り向いた美咲が手に持っていたのは、柄が違う、大きさも違うもので。

食道にあるような安っぽいものでも、なんでもない。



「なんだそれ?選べんのか?スゲェな。」



兵舎暮らしの同期の部屋で、まさかこんなモノがあるなんて、あんまりねぇだろ。

本当に、なんの裏もなく言った俺の言葉に、美咲は悲しそうに笑った。



「……お母さんが趣味で集めてたから。」



そう言って、また袋の中身に向き直る。



あ……確か美咲は、ウォール・マリアから来たんだったな。

悪い事を聞いちまったか?



……多分、あれは、形見だ。

コイツの、過去に置き去りになってる、思い出の品だ。



少しだけ思案して、陶器のようなコップを選ぶ。



手渡されたそれは、深い青が印象的な、珍しいモノで。



「……へぇ。綺麗なモンだな。」



滑らかな手触りと、単色だが、済んだ色が綺麗で、自然と口から溢れた。



「でしょ?」



一人分のパンと自分用のコップを持ち、美咲はそう言って柔らかく笑った。


彼女が手にしているコップはカラフルなドット柄なガラス製品で、コップというより、グラスという表現の方が近い。



殺風景なこの部屋で存在感を放つそれが、よく映えていて。

コイツの両親っていい趣味だったんだな。なんて思いながら、浅く笑うと、美咲と目があった。



「……何笑ってんの?」

「別にー。」



訝しげな顔を見せる美咲に答えて、俺は手渡された青に口を付けた。



普段、何気なく飲んでいるただの水が、何故か滑らかな感じで、喉を通る。



……あ。

入れモンが違うだけで、味って変わるんだな。



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