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【進撃の巨人】愛を込めて花束を(R18)

第20章 ※アイツと私の特別な休日






身をよじって逃れようとするが、もちろんそれは無駄で。

逆にガッチリ、まるで「離してやんねぇよ」とでも言うかのように拘束されてしまう。



ジャンの腕は、こんなに力強いのに……

髪を撫でる手は、嘘みたいに優しい。



「でも、勿体ねぇな。」

「へ?」

「お前の親、さ……損してる。」

「な、にが……?」



ジャンの言葉に、記憶がうっすらと蘇る。



昔から不器用ではなくて、落ち着いて見られていたから、いつしか私の両親は、私を甘やかす事をやめた。

決して不満はない生活をしていて幸せだったけれど、私には甘えられる人がいつの間にかいなくなってしまっていた。



ジャンの体温を感じながらの問答は、苦手だ。

心底イヤだと思えたら……

もっと楽なのに、心のどこかで心地いいと思っている私がいるから、タチが悪い。



ジャンは、するり。私の髪を撫でると、呟いた。



「こんなに綺麗で気持ちいいのにな。お前の髪。」

「……ッ、」



ジャンは、やっぱり、ズルい。



そういう不意打ち、やめて欲しい。



私の頭に、髪に、触れるジャン。

どこか楽しそうで、強く「やめて」なんて、言えなくなってしまった。



お互いの呼吸と心臓の音しか聞こえない、静かな部屋で。

私の髪は、はらりと揺れる。

気を抜くとまた眠ってしまいそうな程、それは魅力的だった。



髪を撫でるのに、上手いとか下手だとかなんてものがあるなんて、知らなかった。

……知らないままでも、良かったのに。



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