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【進撃の巨人】愛を込めて花束を(R18)

第15章 ※隠したウソを暴くアイツ





「どうして?って顔だな。」

「だっ、て……。」



分からない。

思いつかない。



理由が分からない事への焦りと、嘘を見抜かれた動揺とが重なって、上手い言い訳も出なかった。

ジャンは、少しだけ呆れたような顔をして、答えをくれた。



「……やっと終わっただろ、ハンジさんの仕事。頑張ってたし、労ってやろうかと思ったんだよ。」



誰よりも私の様子を伺いに来ていたからこそ出来る、気遣いだ。

この間、凄いタイミングで救ってくれた時みたいに。



ジャンは、こういうところが、ズルい。



「そう、だったんだ……。ごめん。」



素直に謝ると、ジャンの手が伸びてきた。

私の頭をがしっと掴んで、軽く揺すってくる。



不思議と、逃げる気は起こらなかった。

なされるがままの私に、ジャンの声が降ってくる。



「だな。俺を待たせるとか、ホンットいい度胸してやがるぜ。」

「えっ、待ってたの?!」

「待つわけねぇだろ。バカ。」



驚きの声をあげた私に、しれっと答えたジャン。



……せっかく人がしおらしく、したてに出てるって言うのに、この男は。



思わず、一番近くにあったジャンの肩を、軽く叩いた。

パシッ。と軽い音がして、少しだけ気が晴れた。



私の頭を解放したジャンは、パンを千切って口に含む。



「ま。一人で飯食うのも味気ねぇし、誰かと食おうと思ったんだよ。」

「そっか……そうだよね。」

「あぁ。」



頷いたジャンに、私も同意する。

本当は、久しぶりのこの時間が、何だか心地よく感じていたから。



「……で?」

「ん?」

「お前はあの夜、誰と街に出たんだ?」

「ッ?!」



その話、まだ終わってなかったのか。



上手く誤魔化せたような気がしていたのは、やっぱり気のせいで。

追求を止めないという確固たる決意が、その目に見えるジャンから、視線を泳がせる。



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