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【進撃の巨人】愛を込めて花束を(R18)

第13章 私の誤解と憧れのあの人





忙しさの波は、やがて終わりを迎えた。



調査兵団で仕事をしていたら、緩やかに終幕を迎える事もあれば、慌ただしくぷつんと途切れるように終わる時もある。

任務によって、まちまちだ。



私は、ハンジさんの書き込められた資料の最終確認を行い、
タン。と小気味いい音を立てて資料のばらつきを整え、大きく伸びをした。



「……終わっ、たー……。」



まだ作業スペースの資料は錯乱したまま。

けれど、もう後は今手元にある資料にサインをしてもらうのを待つだけだ。

片付けは後からすればいい。



んーっ。と言葉にならない音を発しながら、ぐっと身体を逸らし、ぐっと手に力を入れる。

そして脱力して作業台に手を付ける。

身体中に血液が回る感じが、気持ちいい。



「おう、お疲れ。」



うっかり目を閉じていた私に降って来たのは、ジャンからの労いの声。

近くにいることにすら気付かなかった。



「ありがとー。」



そう返事をして、作業台に突っ伏していた身体を起こすと、コトン。と小さな音がした。

作業台の空いたスペース、ちょこんと置かれた湯気の立つコップ。

中身は紅茶のようだ。



「お前頑張ってたから、ご褒美な。」



浅く笑ったジャンの顔が、何だか優しい。

調子狂うなぁ。と思いながら手に取って、御礼を言う。



「……ありがと。」

「ああ。こっちも片付いたら何か奢れ。」

「……ヤダよ。」



こっちが珍しく素直に感謝の気持ちを伝えてるってのに、全く。

溜息を吐きながら、湯気をふぅふぅ。と追いやり、ティーカップの節に口を付けた。



はぁ……あったかい……ホッとする。



疲れた身体に、温かい紅茶が沁みる。

ふぅ。と安堵の息を吐いていると、バタバタと先程から騒がしいハンジさんが大きな声を出した。



「美咲ー!後はサインもらうだけだから、帰りに団長室に寄って、もう今日は休んでいいよ!」



未だにバタバタとしている彼女は、多分私より疲れているであろうに、研究と開発で夢中なようだ。

私は一気に紅茶を飲み干し、ハンジさんの言葉に甘えるように、残りはサインをもらうだけの資料を準備して、作業スペースを離れた。



ジャンはいつの間にか、任務に戻っていたようで、見当たらなかった。




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