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【進撃の巨人】愛を込めて花束を(R18)

第9章 思わぬ誘いと憧れのヒト






「お……お酒、ですか?」



口から出たのは、素直な疑問だった。

だって私はまだ、お酒が飲める歳ではないから。



リヴァイ兵長は、まるで不思議なモノでも見ているような私に、少ない量が入ったワインを手渡した。



「ただ、お前とプライベートで飯を食いに来たかったのに、そんなガチガチでいられたら、俺まで緊張しちまいそうだ。アルコール度数は低いし、今夜は目を瞑るから心配するな。」



……そんな攻撃、ズルい。

そんな伺うような顔で、そんな甘い言葉を貰ったら。

頷くしか、ないじゃないか。



「……はい…。」



消え入りそうな声でグラスを持った私に、リヴァイ兵長は目を細くした。

良かった。と言うように。



カチン。

乾杯をして。

一気に、人生2回目のお酒を飲んだのはいいけど、ワインは渋くて、あまり美味しさが分からなかった。



けど、少し時間を置くと、緊張もほぐれてきて。



「ほう。一人っ子か。」

「はい。リヴァイ兵長も一人っ子だったんですね。」

「まぁ俺の方は、曖昧だがな。」



……お店に入ってから、一時間。
少しだけ、リヴァイ兵長と話すのにも慣れてきた。



最初は、とんでもないと思っていたのに。



お酒の力も、もちろんあったけど、飲んだのは最初の1杯だけで。

リヴァイ兵長の、意外と話すその会話力が、私との間の壁を、見事に破ってくれたのだ。



プライベートに関しては、お互いに知らない事だらけだから、何を話しても新鮮で。

何より、憧れのリヴァイ兵長から、個人的な話しを聞ける事がうれしくて。



「そう言えば、兵長はおいくつなんですか?」

「……ガキん頃の記憶はあまりねぇが、多分30くらいだな。お前から見たら、そこらのオヤジもいいところだ。」

「そんな!」



まさか、と言うように、顔の前で手を振る。

その様子がおかしいらしく、兵長は珍しいものでも見るかのように、少しだけ笑い、ワインを飲み干した。



「気を使わせて悪い。」

「いえ!全然!お世話とかじゃないですから!」

「……フッ。お前は面白いな。」



そう言って、リヴァイ兵長は、今度は紅茶を頼む。

この間と同じように、喉の動きに見惚れてしまいそうになるのを、ずっと我慢していて。



私は、手に取っていた紅茶を、飲み干した。



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