第4章 ‐case2‐endnig.
2月…そう、バレンタインデーのある月。
堂々と、女性から告白が出来る日。
龍くんに、気持ちを伝えたのは事故のようなものだった。
だから、この特別な日に、ちゃんと、本気で、彼にぶつかってみよう。
申し訳ないけど夕くんの事を考えるのは、その後にする。
やっぱり、龍くんに好きアピールしながら、夕くんの事も考えるなんて、私には無理だった。
そんなに器用でもないし、狡くもなれない。
だから、正式にフラれたら、今度は夕くんだけの事を考える。
それが私のやり方。
相手が、友人の弟だけあって、事前の情報収集はばっちり。
龍くんは、甘いものが大丈夫なタイプで、ベタな手作りとかに憧れがある。
典型的な思春期の男の子のようだ。
それなら、ご希望通りの手作りチョコレートを用意して。
プレゼントも、手編みのマフラーとか用意してみたんだけど。
これは、フラれた場合は重いだろうな…。
悩みに悩んで、迎えたバレンタインデー当日。
ラッピングまでしていたマフラーは、部屋の隅に置いたまま家を出た。