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私の妖精アカデミア【更新停止中】

第12章 敵との遭遇


「ターボヒーローインゲニウムは知ってるかい?」
「もちろんだよ!!東京の事務所に65人もの相棒(サイドキック)を雇ってる大人気ヒーローじゃないか!!」

流石出久君。ヒーローに関しての知識ならこの中で断トツに強い。

「それが俺の兄さ」
「凄いや!!!」
「規律を重んじ人を導く愛すべきヒーロー!!」

「俺はそんな兄に憧れヒーローを志した。…しかし、人を導く立場はまだ俺には早いのだと思う」

そう言い切って天哉君は出久君を見据える。

「俺と違って、実技入試の構造に気付いていた上手の緑谷くんが就任するのが正しい!」

出久君にはオールマイト…天哉君にはインゲニウム…皆にはそれぞれ憧れとなり、師となる存在がいるんだ。

『(自分にとっての“ヒーロー”…か)』
「そう言えば暁ちゃんの所はどんなお家なの?」
『!』
「確かに気になるな…あんな素晴らしい“個性”を持っているんだ。さぞかし立派なご家庭だろう」
「もしかして、暁さんのお家の人もヒーローなの!?」

三人が興味深々といった様子で私に注目する。
私は長年考えてきた“自分の事情”を語った。

『…私の親は分からないんだ』
「「えっ?」」

『物心ついた時にはもう路地裏に捨てられてて、そこを百に拾ってもらってんだ。“あの事件”がきっかけでね』
「“あの事件”って、僕達が見た…」

そう。例の“水の竜が敵を撃退し少女を救った”というニュースだ。

『覚えていたのは自分の名前と“個性”だけ。後で自分の名字を調べてみたけど…何処にも記されていなくて、身元も不明だったんだ』
「そんな……」

皆の表情が暗くなる。なんとなく予想していたが、やはり重たい空気になるのは避けられないらしい。

『…っごめんね!こんな暗い話して。私、用事があるから先に戻るね』
「あっ暁ちゃん!」

自分のプレートを持って席を立つ。このままだと気まずいし、次の授業まで別の場所に移動しよう。

後ろから呼び止める声が聞こえたが、私は聞こえないふりをしてその場を去った。
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