• テキストサイズ

私の妖精アカデミア【更新停止中】

第9章 初めての実践


教室に戻ると、クラスメイト数人が集まって出久君を出迎えてくれた。

「おお緑谷来た!!!おつかれ!!いや何喋ってっか分かんなかったけどアツかったぜおめー!!」
「へっ!?え…えええ!?」

鋭児郎君を筆頭にして瀬呂君、三奈、梅雨ちゃん、青山君、お茶子が出久君に話しかける。

私はなんとなく予想していたので、隙を見て皆の横を通り過ぎた。出久君は私の方を見て少し非難がましい顔をしている。

『(こんな姿、皆にはあまり見てほしくないし…早めに帰ろう)』

出久君には申し訳ないと思うが、こちらにも事情がある。

自分の席へ鞄を取りに行くと、私の前の席_百の席_の机に腰をかけている常闇君が声をかけてきた。

「八雲、顔色が悪いぞ。大丈夫か?」
『えっ?…あ、大丈夫!ちょっと疲れちゃっただけだし…!』

そこで私はハッと気がついた。常闇君が座っている席の主が、この教室に居ないことに。

『常闇君、百は?鞄無いけど…』
「あぁ、八百万なら先に帰った」
『そっか…』

なんでだろう、帰る場所は一緒なのに。小学校・中学校の時は登下校も下校もいつも二人一緒だった。例えば私に用事が出来て遅くなってしまっても、百はいつだって待ってくれていた。立場が逆でもそれは変わらない。

『(まぁ、この状態を見られて心配かけたくないし…)』

自分を都合良く誤魔化しながら、鞄を持って教室を出る。出久君もさっき教室を出ていった。勝己君を追いかけていったようだ。私も百を追いかけるとしよう。

そう思い、足速に廊下を歩いていると、後ろから別の足音が聞こえてきた。

『?…、わっ』

振り返ろうとしてふらついた所を、後ろから来た人物に支えられた。この羽毛の匂い…常闇君か。

『常闇君、ありがとう』
「気にするな。俺が勝手に付いてきただけだ」

常闇君は本当に気にしていないようで、何でもなさそうに頭を振る。

「俺で良ければ家まで送ろう。そんなにふらついているなら尚更だ」
『……お言葉に甘えようかな。よろしくね』

確かに常闇君の言う通り、今の私は感覚器官が狂っていて足取りが覚束無(おぼつかな)い状態だ。誰か傍にいてくれた方が良いかもしれない。

〈オレモ心配ー〉
『あっ、黒影(ダークシャドウ)君。ありがとう、心配してくれて』

常闇君の背後から出てきたのは黒影君で、私の近くに寄ってきた。



/ 150ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp