第19章 うなれ体育祭!!
「暁、本当に俺が上で良かったのか?」
『大丈夫だって。女だからって舐めないでよね』
話し合いの結果、心操君が騎手でわたしが前騎馬、後の2人は後騎馬になった。
紳士的な彼は私が前騎馬になる事を拒み続けていたが、私の押しに負けた。
《よォーし組み終わったな!!?準備はいいかなんて聞かねえぞ!!いくぜ!!残虐バトルロワイヤル、カウントダウン!!》
《3!!!》
『モード…〈岩竜〉』
《2!!》
静かに両手を上空に向かって掲げる。
《1…!》
《_START!》
『”岩石封じ“!!』
スタート合図が響くと同時に魔法を発動する。
込めた魔力を空へ放てば、スタジアムのフィールド全体に大小様々な岩石が降って来た。
「1000万ゲット─ってなんじゃありゃあ!?」
「また初っ端から妨害かよ!!」
出久君達の騎馬に群がって行った生徒達が驚く。当たれば致命傷は避けられない。けど…“絶対当たらないように落とした”。
悪質な崩し目的だとレッドカードになってしまうので、道を塞ぐ事に意識を集中したのだ。
お陰でフィールドの外回りや騎馬と騎馬の間には多くの岩が立ち塞がっていた。
「…暁って凄いな」
『え。どうしたの、いきなり』
「いや、何でもない…移動しよう」
心操君の指示に頷き、フィールドの端…大きな岩で影が出来た場所に移動する。
「ここで暫く待機か…」
『うん。心操君はともかく、私は皆に顔が割れてるし目立つ事は避けたい』
全体のP(ポイント)の配分を見て、上位に食い込んだ騎馬から奪う。これが私達の作戦だ。
目を閉じて近くに誰か居ないか、気配を伺っていると…信じられない事が起きた。
私達のすぐ真横には岩石があるから、視界はほぼシャットアウトされている筈なのに。そもそも私は目を閉じている筈なのに。
『!?(フィールド全体…いや、スタジアム全体が見える!!)』
私の頭には騎馬戦の状況だけでなく、スタジアムの観客が何をしているかまで見えた。
おかしい、私は魔法を使っていないのに…そもそもこんな魔法は使った事が無い。