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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第15章 【琥珀色】MRI knock


~Sideハイリ~


結局――
昨夜はあのまま流されてしまった。


(何も進展しなかった…。)


進展しなかったと言うよりは
させて貰えなかった…と言うべきだ。

昨日しとしと降った感情の雨。
鉛色をした雲から落ちて来るのは負の感情ばっかりだった。

一夜明けた今日、雨は止んでくれたけど
地は濡れてぬかるんでいる。
その上を軽やかに歩ける程の器が私にあれば
こんな事、考えずに済むんだろうけど…


(爆豪くんの事と言い、昨日の女の子の事と言い
焦凍は自分に対する好意に淡泊すぎると思うっ!)


どうやったら昼休みの出来事を
その日のうちに忘れられるのだろう。

真面目に聞いてくれないし
どこか楽しそうだったし
この人が飄々としてるのは今に始まったことじゃないけど、それにしたってあんまりだっ。

当校中、不満を募らせた頭は
別れ際に大きな手でくしゃと撫でられ、小さく右に傾いた。


(あれ…いつもと違う…。)


メガネのレンズ越しに見上げた今日の焦凍の表情は、少し寂しげに見える。
頭を撫でる手も遠慮がちだ。
私の願望が都合よくそう見せているんだろうか…。
それとも焦凍の向こう側の空が灰色だからだろうか…。

重い、暗い灰色から白へのグラデーション。

今の胸の内と同じ色に
この状況は、お前が作り出したものなのだから
そう言われている気がして、募らせていた不満は一瞬で霧散した。



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