第15章 しょうらいのゆめは
温い湯船に身体を沈める。
少し狭いけど、気持ちいい。
「ゆっくり決めたらいいんじゃねえか、学校」
「…ん」
「専門とかでもいいしな、なんかやりたいこととか…」
「…そっか」
繋心さんは凄く真面目に私の身体を拭きながら、そんな話をしてくれた。
「まあ、その間に、結婚とかの金は俺が稼ぐから…、な?
あんまり豪華なことはしてやれねえけど」
「ほんとに?」
「ああ」
「1個だけ、将来の夢出来ました!」
「なんだ?」
「繋心さんのお嫁さん」
繋心さんは、目を見開いて固まった。
「……覚悟しとけ。
他の好きな野郎が出来ても、俺が叩き潰してやる」
くすくすと二人で笑って、リビングに戻った。
戸を開けると、繋心さんのお馴染みのお友達の皆さんが、私たちの脱いだ服を見て固まっていた。
繋心さんも固まった。
「…………」
「…………」
「あ、皆さん!どうしたんですか?」
「…こ、コイツの親が商店街の飲みの日は、いつもここで宅飲みしてたんだが…」
「そ、そう!その前に一軒寄ってたから遅くなって…な?」
「お邪魔しました……」
「まっ!ま!待ってくれ!!」
繋心さんはやっと戻ると、帰ろうとするのを引き留めようとした。
「せめて、言い訳を…!!」
「よっしゃ!!」
「は?」
「根掘り葉掘り聞いてやろう」
「……くっそ、のせられた…」
ガヤの中、繋心さんの声が小さく私にだけ聞こえた。
繋心さんは、私を胡座の上に乗せる。
「な、なんで?」
恥ずかしくてつい聞くと、
「疲れてるけど、一人になりたくねえだろ」
私のことをよくわかってる言葉に思わず赤面する。
お部屋の空気が少しずつお酒を含んできた。
そのまま寄っ掛かると、うとうとと睡魔に引き込まれた。