第1章 プロローグ
烏野高校に入学して2度目の春がやって来た。
私たち女子バレーボール部は大体育館の半面を使い部活動をしていた。
「1年生、たくさん来ますかねー?」
私はキャプテンである道宮結さんの打つサーブをネット越しにポーンとレシーブをしていた。
別に誰かにという訳で聞いたのではないが、結さんが答えてくれる。
「えぇーー!来てくれなきゃ困るよー…!」
集中が切れたのか、結さんの打ったボールはネットの白帯に引っかかりコート上へと落ちた。
「結さんって、男バレの旭さん要素たまに入りますよねw」
「えっ!あたしって東峰くんっぽいかな?!」
なーんかパニクってる結さん可愛いなぁ~♪
といつもの調子で結さんをおちょくりながらの部活は終わった。
「あ」
「どーしたん?栞」
体育館からの帰り道の廊下で私が短く声を発すると幼馴染兼同じ部活でWSをしている渡辺芽依が顔を覗き込む。
「やっばーーー!!教室に宿題忘れてたんだったーー!」
と同時に芽依の右手チョップが飛んでくる。
「いっつぅー…!」
「アホか!明日月曜だよ?!早く行って来い!!」
「ご、ごめんってーーー!」
大声で謝りながら廊下を駆け抜けていく。
私の教室2-3は2階。
2階へと続く階段を昇っていると、後方から私以外のもうひとつの足音が聞こえた。
くるりと顔だけ振り向くと見知った人が近づいて来ていた。
「あれ、夕じゃん」
「なんだ、栞かよ」
顔を確認すると同じクラスで男子バレー部である西谷夕であることがわかった。
「なんだとはなによ!ってどこ行くの?」
「んー?教室!宿題忘れちまってさあ。だから今、龍にゲンコツ喰らってきた」
「ふはっwww私と一緒じゃん!私も今、芽依にチョップされたー」
「オレと同じリベロなだけあるな!」
「あー、はいはいー」
こーんなやり取りを普通にしているが、内心はすごくドキドキしていた。
だって
夕が好きだから。