第6章 〜氷の剣士〜
私には、血の繋がらない兄がいる。
年は同じだか、私より誕生日が早い事から、兄と妹として育ってきた。
幼い頃は、兄にくっついて離れなかったが、思春期に入ると、兄はそれを鬱陶しく感じたのだろう…。
私に対して露骨に冷たくなり、私がクヌギガオカ魔法学校へ入学する頃には、ほぼ会話もしなくなっていた。
『聞いたか?この街に五英傑が来てるって話!』
『五英傑ってなんだ?』
『知らないのか?この世界を統べる女神カラナの加護を受けた最強の戦士。その中でも、五英傑と呼ばれる五人の戦士は、かなり強いらしい。』
『さすが磯貝君!正解です!』
『あれ?まぁちゃん、浮かない顔してるけど、どうしたの?』
『何でもないよ…。』
『で、その五英傑が、この街に何のようなんだ?』
『ビッチ先生が酒場で集めた情報によると、女神カラナの予言で魔王が復活した。しかも、この学校がそれに関与しているって噂が流れてるみたいだぞ。』
『それヤバイんぢゃないのか?もし、ここに魔王がいるなんて知れたら、俺たち全員牢獄行きだぞ…!』
『ヤバイぞ!みんな!その五英傑がこっちに向かってきている!』
千葉君のバグは、遠くのものに照準が合ってしまい、その反動で近くが見えなくなるバグである。
『くそっ!とにかく、何とかしないと!』
じーーー!
『にゅや?!なっ、何ですか?みなさん…』
『こんな黄色くて、足が何本もあるモンスターいないよね?』
『鼻がないのもおかしいしな!』
『髪の毛もいるんじゃない?』
『歯がずっとらむき出しってのもおかしいよねぇ〜?まぁ、魔法で歯を溶かすってできるぅ?』
『にゅやっ!歯を溶かして何か解決するんですかーーー!?』
『とにかく、このままではダメだから…』
『コロ先生、じっとしてて!』
『にゅ…にゅう…み、皆さん、何だか楽しんでいませんか?』
一方、森では…。
『ヒヒッ!魔王がこの山にいるって噂、聞いたんだ!
俺たち荒くれ者も、ここで手柄あげりゃあ、一生遊んで暮らせるだろうよ!』