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【松】六人の兄さんと過ごした三ヶ月

第2章 二ヶ月目の戦い


『××××!!』『××××!? ××××!!』『××××っ!!』
 周囲では罵り合いが繰り返されているが、推察したところで意味のない内容であろう。
 やがて一松さんが私を置き、立ち上がる。
『××××、××××××××』
 何かを五人に言い、部屋から出ようとする。
 私は慌てた。

 ままま待って! 一緒に行く、一緒に行きますから!!

 必死に追いすがるが、足ではらわれる。
『僕といようよ』と、十四松さんが私を抱き上げるが、私は大暴れ。

 いやあー!! 一緒に行くー!! 一松さんについていくーっ!!

 あまりの鳴き声に、さすがの十四松さんもちょっとうるさそう。
 あ。力がちょっとゆるんだ!!
 私は十四松さんの腕から逃げ出し、全力で走って一松さんのジャージにすがる。

 お願い! 置いてかないで!! 一緒にいたいっ!!

 ジャージをつたって上着にたどりつき、肩にしがみついて鳴きまくった。
『…………』
 一松さんの大きなため息。
 お? 何か浮遊感。
 そして床に置かれる。でも私は一松さんの匂いに包まれている。
 ごそごそと動いて顔を上げると、一松さんが紫のつなぎに着替えているのが見えた。

 どうやらご自分のパーカーを脱ぎ、私ごと下に置いたらしい。

 私は一松さんの匂いに、とりあえず一安心。
 パーカーを踏み踏みし、いいあんばいにする。
 ふぁ~。朝から暴れたんで、ちょっと眠くなってきたかも。
 パーカーに埋もれ、丸くなった。
『×××、×××××。××××××××』
 少し優しい声。一松さんが背中を撫でてくる。

 私は嬉しくなって顔を上げ、一松さんの指を舐める。ゴロゴロ、すりすり。
 ついでにお腹を見せて尻尾をぱたぱた。
 でも一松さんはそのまま出かけていってしまった。ちぇー。

 私は再度パーカーのベッドに潜り込み、すやすやと寝てしまった。

 …………

 …………

 目の前をチラチラと猫じゃらしが動く……てい! あ、あれ? てい!!
 こら逃げるな、ていっ!! てい!!
 必死に追いかけ追いかけ……ちょっと飽きた。
 動く猫じゃらしに興味をなくし、目の前のふすまにうずうず。
『っ!! ××××!!』
 慌てたような声がし、目の前をネズミのオモチャが滑っていく。
 待て待て!!

 ホッとしたような顔になるのはカラ松さんだった。
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