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【松】六人の兄さんと過ごした三ヶ月

第2章 二ヶ月目の戦い


「ねえ」
「わっ!」
 いつの間にか、一松さんが真っ正面にいて驚く。
「そろそろ話してくれていいんじゃない?」
 松野家に、いやこの町に来た理由? うーん。
 口ごもっていると一松さんが『話せないんだ。じゃ、質問変えるけど』と冷たく、
 
「いつまでうちにいるの?」

 言葉が突き刺さる。出て行け、という意味ではないと分かっていても。

「一松兄さん、一松兄さん、そうじゃないよ。
 そういうときは『いつまでいてくれるの?』だよ!」

 涙が引っ込む。十四松さんはテンションが高い。

「……。で、いつまで?」 

「もうちょっとです」

 一松さんの表情に変化はなく『そう』とだけ言った。
「じゃあトランプしよう、トランプ!!」
 何が『じゃあ』なのか。十四松さんがトランプを乱雑に切りだした。
「あ、三人だけでズルい!!」
「俺たちも混ぜろよ!!」
 ふすまがガラッと開いて、四人がドヤドヤと入ってきた。
 まさか外で聞いてた?
 けどにぎやかにポーカーが始まり、何もかもが、うやむやになっていく。


「私、ロイヤルストレートフラッシュです。じゃあ賭け金いただきますね♪」
「松奈すっげーっ!!」
「ふっ! おそ松の目はごまかせても、俺の目はごまかせないぜ!」

 ギクッ!

「懐から何か出してたよね、松奈? 言っとくけどうちのスペードのA、イカサマが出来ないよう傷をつけてるから。ちょっと君のカード、よく見せてくれる?」
「何てひどい! 妹を疑うんですか!? 出て行って下さい、皆ひどい!!」
「その間に本物のカードとすり替えようとしない!! おい一松!」
「うわ!! 一松さん、DVですよ、DV!! こぶしが!! こぶしのグリグリがこめかみにっ!!」

「言い方が何かいやらしいよね、おそ松兄さん!」
「ねえ松奈、こいつのS○Xって、どんな感じ? 変なプレイとか強要されてない?」
「あんまりホテルとか行ってないみたいだけど、我慢出来なくなったら、やっぱ外でやっちゃう?」
「うわー、引く。通報されてもちゃんと偽名を使って、僕らに恥をかかさないでね!」

「うるせえ、おまえら!!」
「痛いー。あとセクハラっ!!」

 泣き声、笑い声、怒声が交錯する松野家の夜であった。

 あと賭けポーカーは犯罪です。
 良い子はバレないようにイカサマをしましょう☆

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