• テキストサイズ

【松】六人の兄さんと過ごした三ヶ月

第2章 二ヶ月目の戦い



 何がどうしてこうなった。
 あまりのことにお口を開けて見ていると、チビ太さんが私に気づいた。
 もちろん、今は『美少女薬』の効果が切れているので、彼に私が誰かは分からない。

「ん? ああ、心配しねえでくれ、こいつらはツケをためすぎだからな。
 これは正当な取り立て行為だ!」
 ンなわけがあるか。だが、ダメダメな六つ子も私に気づいてしまった。

「松奈~!! 頼むから助けてっ!!」
 空気を読めや、おそ松さんっ!! チビ太さんも、

「嬢ちゃん、こいつと知り合いなんでい?」
「まさか。こんな社会のクズ連中、すれ違っただけで通報してますよ」

「だよなあ、あっはっはっは!!」
「あはははははは!!」

『おいーっ!!』

 なごやかに笑いあい、その場を離れた。

 そして角を曲がったところで、立ち止まる。
 背後からは悲鳴と、私を呼ぶ声。

 ……仕方がないなあ。

 私は急いでふところを探る。

「あった」

 延長があったとき用に、イヤミ社長からもらっておいた、予備の『美少女薬』だ。
 私はそれをぱくっと飲み込み、

「チビ太お兄ちゃ~ん♪」

 と、笑顔で飛び出した。

 …………

 その後の交渉の末、持っていた数日分の稼ぎを利子分として差し出した。

 で、どうにか一旦許してもらえた。

 解放された六つ子に正体をバラし、私たちは家路につくことになったのだった。

「お友達とはいえ、お金はちゃんと払うもんですよ」
 暗い夜道を歩きながら、私は苦言を呈する。

「えへへ。本当に可愛いね。妹にツケを払わせちゃって本当にごめん~」
 外見が変わったとたん、デレまくりだなあ、おそ松さん。

「どうか礼をさせてほしい。夜景のきれいなバーに行かないか?」
 止めて。そのキーワードはトラウマなんですよ、カラ松さん。

「危ない仕事はしちゃダメだって何度も言ってるのに。何でそんなにお金がいるの?」
 とチョロ松さん。こういうとき、まとめて使うためっすよ!

「松奈、松奈!! どっかに遊びに行こうよ!!」
 あなたは酒が抜けてないようですな、十四松さん。

「ねえねえねえ、もう少し可愛いまんま? 二人で飲み直しに行かない?」
 トド松さんは外見が良いならどうでもいいのか。

 というか妹に金を出させといて、罪悪感の欠片もないな、こいつら。

/ 422ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp