• テキストサイズ

【松】六人の兄さんと過ごした三ヶ月

第2章 二ヶ月目の戦い


 その後、私は危険すぎるアルバムを押し入れ奥深くに封印した。
 そして彼らの過去に二度と触れないことを決意したのであった……。

 一時間後。

 ご兄弟の去った部屋で、私は怒っていた。
「一松さん」
「…………」
「一松さん、言いたいことがあるなら言ったらどうなんですかっ!!」
「…………」
 一松さんは、部屋の隅で猫を抱えている。
 そして恨みがましい目で私を見ていた。
「いや、あなたにも自分で自分の見分けがついてなかったでしょうが。
 他人の私がどう見分けろって言うんです!!」

 ギャルゲーや恋愛漫画なら、愛で双子を見分けるんだろうが、それが六つ子だと難易度三倍どころか三乗である。

「…………」
 奴は明らかにスネていた。面倒くさっ!!
 一方、後ろからは、
「ほらほら松奈、これがチョロ松兄さんが整形してイケメンになったときの写真!!」
「わざわざ取り出してこないで下さい、十四松お兄さんっ!!って、整形!?」

 一松さんはやはり、不機嫌なままだった。

 理不尽すぎるっ!!


その2:『妹』

 その後、一松さんはフラリといなくなった。
 午後は二人で出かける予定だったのに。

「はあ……」

 そして一松さんを探して町を歩いていたら、おそ松さんに会った。

「あ、松奈ーっ!!」

 一松さんとそっくりの顔。赤い松のパーカー。
 私の姿を見るなり、嬉しそうに手を振ってくる。
「げっ!!」
 とっさに逃げようと思ったが、腕をつかまれた。

「何だよ~。町の中でお兄ちゃんに会ったからって恥ずかしがるなよー!」
「いいいいいえ、わわわ私は一松さんを探していてですねっ!!」

 新しい猫スポットにつれて行ってくれるという話だったのに。
 たかが写真で、あそこまでヘソを曲げることはないでしょうが!
 ……もしくはまた斜め上に反応し、謎の自己嫌悪に陥って姿を消した可能性もあるか。

「ええ!? 一松と? ダメだよ。松奈はまだ未成年なんだから!
 一松と(ピーっ!!)はまだ早い! そういうのは大人になってから!」
 ……昼間の町で、大声で言わんで下さい。

 あと(ピーっ!!)にすぐ結びつけるとか、AVの見過ぎじゃないのか。

/ 422ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp