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【松】六人の兄さんと過ごした三ヶ月

第8章 派生④カラ松END


「小悪魔のように意地悪な顔、思い通りにはならない強い瞳! 全身で俺を拒んでいるかのようなその仕草!
 何て愛らしい!!」
 カラ松さんのアイタタなセリフは続く。

「ちょっと!! 人が見てますよ! てか、あなた今、私がクソ生意気だってことしか言ってないから! 実はそれが本音だったんですか!?」

 焦って地面を見る。カラ松さんの理想のタイプって、大人の美女では!?
 これは明らかに異常事態だ!!

 手を握られながら、焦って地面を見――カラ松さんの足下に空の小瓶が転がってるし……。

 何で人に飲ませる薬を自分が飲んだし。

 私の説明の仕方が悪かったのか、気が急いて説明をちゃんと聞いてなかったのか。

 で、私への単なる感謝の気持ちが……『今この場でセク○スして下さい!』に……瞬間移動……。

 ヤバい。猛烈にヤバい。

「松奈!! 愛しのマイハニー!!」
「正気に戻って下さい。薬のせいですから! それに私、あなたの弟の彼女なんですよ!?」
「おまえが誰の女かなんて関係ない!! もう二度と離さないからなっ!!」
「私は、一松さんの他に恋人などいりません!」

 例えホテルで、二人の男に言い寄られようと目もくれない。それが私である!!

「ああ、何て一途な女なんだマイハニー!! そこも素敵だよ!」
 逆に好感度が上がってしまった!

「……は?」

 そして浮遊感。
 
 お姫様抱っこされました♪

 私はカラ松さんに両手で抱えられていた。
「止めてええええええ!!」
 リアルに姫抱っこなんてするもんじゃない。絶対に後で肩と腰が死ぬから!!

「さあ俺と行こう!! 明日の見えない世界に!!」
 だが奴は吹き出るアドレナリンで苦痛を感じていないらしい。
「下ろしてくださいーっ!!」

 そして私は通行人の皆さんの見守る中、地の果てに連れて行かれたのだった……。

 …………

 …………

 羞恥で死ねると思った。
 
 で、今やっとカラ松さんは私をベッドに下ろし、意味もなく両手を広げ、
「さあついたよ、ハニー。俺たちの愛の巣に!!」
「愛の巣ってか、ラ○ホですからっ!!」

 しかし本当に不味い。ラ○ホ。こういうホテルは一度入室すると、精算まで鍵が開かないオートロックなのだ。私の所持金……5、6円くらいあったかなあ。

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