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【松】六人の兄さんと過ごした三ヶ月

第8章 派生④カラ松END



「イヤミ社長、この薬で女を何人か引っかけ、貢いでもらってるみたいですよ」
 倫理的に色々問題がありそうな薬だが、本人の中に一定の好意がなければ恋愛感情もわいてこないそうなので……セーフ……なの……か?

 効果が切れた後は、効いてたときの記憶も消えるらしいんだけど。

 カラ松さんも軽蔑したように鼻を鳴らす。
「フンッ! 哀れな男だな。真の男なら、いかに落ちぶれていようと女の方が放っておかないものだ!」
 そうかもですねー。真の男にカラ松さんが該当するかはさておきー。

 ちなみに薬の出所は便利なネット通販らしい。
 デカパン博士の研究所から盗まれた物が、ネットに流通してるようだ。

「そういうわけで、こんなお薬はカラ松お兄さんには必要ないでしょうから――」
「いや必要だっー!! ど、どうか譲ってくれ! 頼む!!」

 譲ってくれというか、奪い取る勢いのカラ松さんを、必死にかわす。
「真の男なら、薬に頼らずナンパ出来るんでしょ? あきらめて下さい!!」
「松奈~。どうかこの傷ついた兄に、慈悲を……」
「うーん……」

 元々タダで強奪――もとい分けていただいたものだ。
 カラ松さんには良くしてもらってるし、彼が喜んでくれるならいいかな。

「キャンペーン特別価格三十万でお売りしますが」
「金なら無いっ!」

 チッ。


「じゃ、どうぞ」
 無念ではあったが、カラ松さんにお薬を渡す。
「え……いいの!? やったーっ!!」
 イタタ演技を忘れ、ぴょんぴょん跳ねてます。
「じゃ、お好きな美女を引っかけて下さい。では私は買い物に行きますんで」
 クズ五人の朝食兼昼食を作らねばならん。

「あ……うん。ありがとう、子猫ちゃん。君のような可愛い妹を持って幸せだ!」
 はいはい~と行こうとしたらパシッと手首をつかまれた。
「……可愛い……」
 は? 振り向く。
「前から可愛いと思っていたが、よく見るともっと可愛い……」
 いやだなあ。今さらそんな当たり前のことを今さらお気づきになるだなんて☆

 ……とかキモく調子こいてる場合じゃ無い。

 何か変だな。

 突然、カラ松さんがひざまずく。

「松奈!! 何て可愛いんだ!! まさに女神!! 俺の理想の女がここに!!」

 私の手を取り、うっとりと見上げる。

 ……はああああ?

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