第7章 派生③おそ松&チョロ松END
「行こう行こう、松奈ー」
「助けて、チョロ松さーんっ!!」
だがチョロ松さんは無表情にガイドブックを閉じ、私に手を振る。
「じゃ、俺は大浴場に入ってくるから。松奈、後でね」
「いやあーっ!!」
私はずりずりと引きずられていった。
…………
湯けむりの中に、ひのきの香りがただよう。
おそ松さんは湯につかり、両足の間に私を座らせて抱きしめてくる。
今のとこ、変な行為に及ぶ気配はないけど……。
「良い眺めだね、松奈。チョロ松が選んだとこだから心配だったけど、ホント最高。
あとは酒でもあったら最高なのに」
「止めて下さい、オッサンですか」
温泉のため遠出するとか理解出来ないわーと思ってたけど、実際に来て浸かってみると、確かにくつろぐ。
ししおどしみたいな蛇口からは源泉が惜しみなく注がれ、湯しぶきを上げる。
外はうっそうとした竹林、そして自然の風。
上を見れば赤塚区では見られない、見事な星空だ。
耳をすませば遠くから温泉街の喧噪、それに混じって鳥の声と葉ずれの音がする。
もちろん温泉も気持ちいい、どう表現すればいいのか、とにかく水道から出したお湯と全然違うのだ。絹みたいな感じで肌になじみ、身体の芯から温まる。
はああ~。疲れが取れる。癒やされる~。
「静かですね」
息を吐き、おそ松さんの腕の中で、目を閉じる。
うう、適温すぎて寝ちゃいそう。のぼせるまで入っていたい。
「だよね。開放的な気分になるよ」
と、胸に手が伸ばされる。
……もう少し情緒を味わおうという気が無いのか、このクズは。
「松奈。すごく色っぽいよ。本当、可愛い!」
止めろ。抱き寄せるな、湯の中で己のモノを握らせるな!
もう少し温泉を楽しめ、この俗物がっ!!
無理やり手を離し、どう逃げようか算段をしていると、
「キスしようよ、松奈。こっち向いて」
「ちょっとおそ松さん。私は――ん……っ……」
首をゴキッとひねるとこだったでしょうが!
無理に振り向かせられ、キスをされる。
「ん……」
お湯のやわらかな浮遊感の中、裸のおそ松さんに向き合い、腕を首に回し、もたれるようにキスをする。背を抱きしめられ、互いに身体を密着させる。
「……ん……」