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【松】六人の兄さんと過ごした三ヶ月

第2章 二ヶ月目の戦い



 ここで目覚める前のことを思い出す。
 あの夜、宝くじを破られた私は一松さんに激怒した。
 そして夜の公園で大喧嘩になって……。
 でも、最終的に疲れてしまった。
 私は一松さんが全く悪びれないのに疲れて、ベンチに座って、眠くなって。

 おかしい。

 おかしすぎる。なぜ、それでここに飛躍する。
 一松さんとは普通にやりとりしていた。風邪の対応をめぐって多少は怒らせたかもしれないけど、いつものことであり。

 何でこんなホラー映画みたいな状況になってるの。

 一松さんにいったい何があった。
 私たちの関係は良好であり、彼がこんな行動に出る理由が分からない。

「俺も好きでやってるわけじゃないから」
「は?」

「一ヶ月だけ我慢してよ。よく分からないけど、タイムリミットをオーバーすれば、もう帰る手段はないんでしょ?」

「ん……て、一ヶ月、監禁するつもりなんですか!? 長期すぎますよ!
 最後の数日くらいでいいでしょうがっ!!」

 谷間をまさぐられながら、どうにかツッコミは入れる。

「勝手に宝くじを当てる方が悪いよ。考えてみれば、俺らを保証人にして借金したり、内蔵売ったりして、短期に三百万をどうにか捻出することは不可能じゃないと思って」

「私のハードラックに文句を言われても! あと腎臓一個無くして帰還する気はありませんからね!」

 お母様とお父様に迷惑をかける方法も却下だ! 心配されなくとも、勝手に借金なんてこさえませんよ!!

「どうかなあ。用心に超したことはないし。一応、監禁しとこうと思って」

「一応で監禁に走られてたまりますか! 何か軽いし!!」

 一松さんは平常運転。だから怖い。

「こんなの、犯罪行為ですよ。全国報道とかされちゃうかも……」

 反応すまいと思っていても、耳に鎖骨にとキスされ、息が上がってくる。

 優しい愛撫に、下半身の熱もたまってくる。

「その『未成年』が住所不定で戸籍無し、記憶無し、捜索願い無しの、存在しない子だったら?
 それにそんなことをすれば、松野家にも迷惑がかかるよね」
 まあ、確かにそうなんだけど!!
「ん……ぁ……やっ……!」
 少しずつ蜜があふれてくる。指が谷間に潜り込み、くすぐるように敏感な箇所を刺激する。
「皆。きっと私を、探して……」

「松奈は自分の家に帰った。そう説明しておいたよ」
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