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【松】六人の兄さんと過ごした三ヶ月

第2章 二ヶ月目の戦い



 ……寒い。一松さん……?

 暗い。冷たい。

 どこかで水が落ちる音がして、目を開けた。

「う……っ!」

 まず感じたのはものすごい頭痛。あまりの痛さに、一度覚醒したのにしばらく思考停止していたくらいだ。
 そしてずーっと寝ていたかのように、身体が重い。大きく息を吐いた。

 そしてまた水音が気になる。
 いや、水じゃ無い。雨だ。雨が降っている。

「……て、雨!?」

 うわああ。洗濯物を取り込まないとっ!!
 あのクソニートどもが洗濯物を取り入れるかどうか。
 お母様からしつけられているが故、たいていはやってくれるが、最近は私に家事を丸投げだからなあ……これだから男性は……ブツブツ……。

「ん?」

 どうしたことだろう。
 身体が動かない。金縛りか。
 うーむ。昨日は遅かったもんなあ。

「……ん?」

 いや、金縛りはこんなに意識が明瞭じゃないでしょう。多分。
 それに心霊現象にしては、今は……えーと。

 部屋がすごく暗くて分からない。でも夜まで寝ていたかなあ。
 雨の音はするんだけど。

 でも夜というほど暗くは無い。多分、日中。
 光源は? そこの窓だ。
 視線を転じると窓が見えた。
 分厚い遮光カーテンがかけられ、その向こうに格子が見えた。

 だんだんと目が慣れてくる。

 私は少しずつ身体を動かしてみた。
 そしたら音が聞こえた。

 ガチャリ。

「…………」

 言葉を失った。ナニコレ。

 手錠である。

 引いた。ドン引いた。何ですか、コレ。

 玩具では無い、割とリアル寄りの手錠である。
 私は手錠をした状態でベッドに寝かされていたようだ。
 私、寝ている間に違和感で手を動かしまくったのかな。
 手首に赤い輪っかが出来ている。
 まだ赤くなってるだけだけど、手錠がこすれるとちょこっと痛い。
 私はそろそろと身体を起こした。良かった。他に拘束はされてない。

「あ、おトイレおトイレ」

 失礼。起きたら急に排泄欲求が。トイレはどこだろう。
 寝ながらキョロキョロする。そんなに広い部屋ではないようだ。

 見えるのは鉄格子のついた窓、ベッド。それから……。

 おー、テレビもある!

 今はいつだか知りたい。
 すぐテレビをつけたいが、生理的欲求を解消する方が先だ。

 寝かされていたベッドから下りる。

「うわっ!!」

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