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【松】六人の兄さんと過ごした三ヶ月

第2章 二ヶ月目の戦い



 暖かいなあ。ゴロゴロ。こう、布団が暖かいだけじゃなくて、人肌のぬくもりが……。

『うわ! こっちじゃないよ、逆、逆! 一松兄さんは反対!』
 何か言われた気がして仕方なく、ウトウトと逆方向に寝返り。
『ん……』
 あ。何か不吉な声。身を縮め、ゴソゴソと足下に丸まる。
『…………』
『猫? ねえ、松奈って猫がまだ残ってるの?』
『それより、やっぱ起こした方がいいんじゃ……』
『フッ。別に俺はこのままソファでかまわないぜ、ブラザーたち。
 子猫ちゃんが安心して寝られるならそれで――』
『起こさないってのはいいけど、一松の隣ってのが納得いかないんだけど?
 俺らが寝てる横でイチャつき始めたらどうするの!』
『するわけないだろ! 妙な妄想をふくらましてんじゃねえよ、××松!!』

 大声出さないでよ。眠いし……。
 うなるとピタッと静かになる。よしよし……ぐう……。

 
 それから何か変な夢ばかり見た。

『うわ! ちょっと抱きつかないで、俺は一松じゃないって!』
『ぅわーい、松奈だー!』
『どれだけ寝相悪いの、一松のとこに行って!』
『別にいいよ。寝ぼけてても避けられるくらい嫌われてるみたいだし』
『だから起こすのが一番良……違う! そっちは布団の外! 風邪引くよ!』
『来たか、子猫ちゃん! さあ俺の腕の中においで。子守歌を歌ってあげよう』
『いやもう寝てるし。起きろぉ、松奈ー!』

 ぐうぐうぐう。


 翌朝、自分のお布団の中で快適に目が覚めたのでした。

 …………

 六人のお兄さん達は、またしても昼前に起きてきた。
 私はエプロンをして朝食を用意し、
「今日の目玉焼き、どうでしょう。半熟って難しいですよね。
 お味噌汁、しょっぱくありませんか?」
 感想を聞いてみるが、

『…………』
 なぜか皆、疲れた顔で無言だった。そしてあちこち傷を負っている。
 また夜中にケンカをしたんだろうか。本当にダメな大人たちだなあ。

 …………

 お皿洗いの後、一松さんに話しかけた。
「一松さん。昨日はごめんなさい。それと……」

 昨日のことをちゃんと謝った上で、研究所の掃除を手伝ってくれるよう、お願いすることに決めたのだ。

 ……が。

「手伝っていただきたいことがあるのですが、いいでしょうか」

「ダメ」

 えー。
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