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いちご☆恋模様 色々詰め合わせ

第1章 いちごミルク


「いたたた・・・」

お腹を押さえ、フラフラした足取りで電車を降りる。今私がいるのは、鮫柄学園の最寄り駅。ここから鮫柄まで、歩く距離を考えるとうんざりした。

・・・こんな重い日に限って、合同練習があるなんて最悪だ、と思う。ぎゅーっとお腹の下の方を締め付けるような痛みに顔をしかめる。

あまりに痛みがひどくて、江先輩にだけ事情を話して後からゆっくり行くことにしたけど・・・今日はもうお休みしてしまった方がよかったかもしれない。

・・・でもここまで来たんだから行く!まだ1ヶ月足らずだけど、せっかく水泳部のマネージャーになって、今まで休まずにきたんだもん。今日だって頑張りたい。

だけど・・・

「う〜〜・・・い、いたいよぉ・・・」

再びやって来た痛みに、思わずしゃがみこんでしまった。
駅の改札を出てすぐのところ。みんな私を邪魔そうに避けていく。

・・・仕方ないけど、だれも心配してくれないものだなあ・・・なんて痛みに耐えながらぼんやりと考える。あまりの痛みに心も弱っていたからか、ほんの少しだけ、泣きそうになってしまう。


そんな時・・・ここ最近ずっと私の心をひっかき回している人の声が聞こえてきた。



「お前・・・いちごか?」
「げ、山崎宗介・・・」



・・・ほら、また人のこと『いちご』って言った!お返しに私も『山崎宗介』って言ってやった。先輩、とかさん付けなんて絶対してやらない。


「げ、じゃねえよ。フルネームもいい加減やめろ」
「・・・それはお互い様です」


いつもよりもずっとずっと高いところにある山崎宗介の顔を睨む。いつも見下されてるけど、今はしゃがんでるせいで、いつも以上に見下されててなんだか腹が立つ。


「てかお前、どうした?そんなとこしゃがんで」
「え?え、えーっと・・・」


男の人に、あの日でお腹が痛いなんて言えるわけない。ましてや、山崎宗介だし・・・


「・・・腹でも痛えの「ち、違います!あの・・・そ、そうだ、アリ!アリがいたから観察してたんです!!」


ズバリ言い当てられそうになって、慌てた私はなんだかわけのわからないことを言ってしまう。
・・・女子高生がアリの観察って・・・自分で言っておいてなんだけど、もうちょっとうまい嘘をつけないものかと思う。
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