【刀剣乱舞】不死身審神者が死ぬまでの話【最強男主】
第1章 神の初期刀・前編(加州清光、大和守安定編)
必死で縋りついてくる清光を、緋雨はしっかりと抱きとめてそう囁いた。そこからはもう、人間の子供が叱られた後に自分でもよく理由が分からずに泣くのと同じように、びいびいと身も世もなく声を上げて咽び続けた。自分の失態を許してもらえた安心感と、何より彼の愛に溢れた言葉がこの上もなく嬉しくて、緋雨の背に回した腕にぎゅうぎゅうと力を込め密着する。
良かった。本当に良かった。やっぱり緋雨は自分のことを愛してくれていたのだ。皆同じなんかじゃない。それぞれの個性をきちんと見て愛でてくれている。自分のことを話さないのにも理由があるのだと分かった。もうこれ以上に望むことなんてない。緋雨は自分を見てくれていて、他の誰とも違う愛を向けてくれていて、それが分かればもう何も自分を苦しめるものなんてないはずだった。
それなのに、清光の涙はなかなかおさまりがつかなかった。何故だろう、緋雨が口にした「すまなかった」という言葉の苦しげな声色が、頭の中に渦を巻いて離れない。胸がきゅうと締め付けられて、痛くて息苦しくて、けれど緋雨のその一言が呼吸のままならないほど自分を苛む理由が全く分からなかった。
許された安堵と嬉しさとがそこに混ざっていくと、両極の感情が怒濤のようにせめぎ合っていよいよ何も分からなくなる。ただ涙の衝動だけが脳を沸騰させるかと言うほどの熱を持ってこみ上げ、それに押し流されるようにして清光は、ただぼろぼろと涙をこぼして嗚咽を漏らすことしかできなかった。
それが緋雨の奥底に隠された過去の傷に瞬間的に触れたからだと、気づくこともないまま。
自分にとって幼子にも等しい小さな付喪神が、泣き疲れて寝てしまうまで、緋雨はその体を守るようにして抱き包み続けていた。
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他作品と同じくこっちも更新遅れててごめんなさい~(;>_<
忙しいですが合間合間に更新していきます!頻度は相変わらず遅いかもしれませんが気長に付き合ってくれると嬉しいです(^▽^)