第2章 神の舌
きっと彼女は自分のプライドと戦っている。そう感じながら瀬凪は事の成り行きを見守っていた。食べてもらえた時点であとは彼女の判断を待つだけ。それよりも瀬凪には気になることがあった。彼女__薙切えりなを見た時から何処か既視感を覚えていたのだ
「(どこで………)」
ガタッという音が聞こえた
視線を向けるとえりなが机にもたれかかっていた
「確かにウチはちっこい定食屋だし、アンタらが食の上流階級なのも本当なんだろーね」
「けどさー」
上座にふんぞり返ってるだけじゃあ作れねー物もあるぜきっと…!
その言葉にギリッと歯を食いしばる
「さぁどーだい」
屈辱的だった
「ゆきひら流ふりかけごはんと卵かけごはん、美味いか不味いか」
許せなかった
「言ってみな!」
悔しかった
「もしもし!もしもし聞こえてる!?ママぁ~!あの薙切えりなが審査員だったんだよぅ~!!」
男__二階堂が泣きながら電話している
「運が悪すぎるよ!絶対無理だよぅ~僕もうおうち帰るー!!」
情けない声で叫ぶ彼は気づいた。先程試験会場に残った二人の存在が今自分の後に居ることに
「お…お前達は!」
創真のその自信に満ち溢れたかのような表情にまさかと思った
「まさか薙切えりなの審査を_」
その言葉に創真は二ィっ笑い
「なんか…ダメだったわ…」
青ざめた顔で言った
あれぇぇ!?
あの後、創真が判定を迫ったあとえりなが出した結果は……
「不味いわよっ!」
少年少女は知らない
誰も居なくなった厨房で二人が作った料理を口にした大柄の男が二人の不合格の印が押された書類を握り潰したことを