第3章 家族として
リヴェリア「想像以上の緊急事態だな」←眉間に皺を寄せ、汗を流す
フィン「どれだけ急いでも一瞬で行けるわけじゃない(ぐっ!)
できる限り最速で行くしかない!
ケイトのことだ、そう簡単に死にはしないだろう。
あの時の言葉を信じよう。
自分の身も護ると言っていたあの言葉を」
真剣な表情で言い連ねるフィンの言葉に、私達は頷いた。
拳を強く、固く握り締めながら言う姿を見て、フィンも自分を冷静にさせようとしているのが見て取れた。
そのお陰で少しだけど冷静になれた。
絶体絶命とも言える状況、街の人達はケイトを敵視している。
それでもケイトは、街を、街の人達を護る為に駆けていった。
街の人達への憎しみが無いわけじゃない。恨みが無いわけじゃない。
逆に言うと、それ以外は持ち合わせていない。
それでも…苦しみがわかるから、同じことをしたくない。
同じ痛みを与えたくないのだとケイトは言っていた。
ケイトは相談せずに行った。
それは巻き込むことで傷付けたくないから、迷惑をかけたくないからだと、ここにいる誰もがわかっていた。
それでも、護りたいのは私達にとっても同じ。
だから私は、私のできることをする。
それは最速で準備を終えて、全速力で向かうこと。
寝ている間も駆けつけられるようにする為、馬を借りて用意した食材も一人分多かった。
その時、私はフィンの考えを察した。
アイズ「フィン…」
フィン「あ…ばれた?^^」
アイズ「…うん」こっくり
今回の独断による行動が招くことは、ケイトだけじゃない。
ファミリアにとっても厄介な事態を引き起こしかねない。
それを押さえる為、なかったことにする為に
ケイトがいるかのように見せかけているのだと気付いた。
ベート「けっ。下手な世話かけてんじゃねえ!あの馬鹿が」
フィン「とか言う割には慌てて飛び起きて駆けつけてきたじゃないか^^」
ベート「うっせえ!//言うな!//
死なれると胸糞悪ぃだけだ」ちっ
最速かつ持久力の高い馬を手配したけれど、どれほど全力で駆けたとしても3日はかかるらしい。
準備は整った。武器の整備も昨日の内に既に済ませてある。
朝5時半、私達は荷台に乗って日の出と共に駆けていった。