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小話【気象系BL短編集】

第102章 磯の鮑の片想い



side.N


こんなにも理解しているのに、駄目だなんて。
知り尽くしているとすら言いきれそうだし、アナタもそう思ってるでしょうに。
何で、俺じゃあないんだろ。
あんな鈍感でヘタレの”いい男”と付合ったりして。


酒が入って、くったくたのアナタを見て、そっと嘆息する。
手を出してないワタシを、誰か褒めてくれませんかね。
いっそ、盛大に。


「しょーちゃんが、わるいの。オレ、しらない」

「はいはい。ワインはお仕舞ね、ほら相葉さん貸して」

「やーだぁ!のむ、かさない。もっと、のむからね」


テーブルに突っ伏す癖に呑もうとするのを、どう宥めたら良いものか。
正直なとこ。可愛いと知らんがな、7対3なんですけど。
関係が密だと、こういうときに困る。
惚気とか相談とか、いい窓口になってしまう。

知りたくないんじゃないけど、あのひととの恋路なんて邪魔したいに決まってる。
俺にしませんか、なんて。アナタのこと、分かってるのは俺だよ、なんて。
口が裂けても言えないけども。言わないけれど.
けど、想像くらいは許してよ。

妄想ぐらい、いいじゃない。
現実で横槍を入れやしませんから。なんて、ねぇ?


「あれ………相葉さん?あいばさーん……寝たか」


上下し始めた背中を、そっと撫でてみる。ん、あったかい。
これはいつも、翔さんの傍にあるもので。彼が大事にしているもので。
俺は相葉さんを愛してて、同じくらい翔さんが大切で。
”アマイユメ”の中でさえ、俺は彼らの関係を壊せない。
昔から、ずっと、困ったことに。


「……翔さんが男前じゃなかったら、もう少し奪う気にもなれたかなぁ」


露ほども思わないことを、何となく零してみる。
当然、嘘くさい。

それから相葉さんの手からグラスを取り、赤いアルコールを呑みほす。
不思議と、素直に笑えるものだなぁ。
まあ、俺は俺でゆるーく横恋慕してますかね。


「今日のお代は、間接キスで……冗談だけど、フフ」


愚かしくたって、良いのだ。
捻くれた俺だって、可愛げは持ち合わせているんだから。






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