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小話【気象系BL短編集】

第9章 気侭にワガママ



side.M


ねぇ、翔ちゃん。
耳を塞ぎたくなる甘い声を、オレは聞こえないと思いこもうとしてた。

聞こえない、きこえない、きこえてる。

思わず舌打ちしそうになって、必死に堪える。
途端、べこっと潰れる音がした。

「何やってんの?大丈夫?」

ニノがゲーム機から視線を上げて言う。
はっとして手の中を見れば、へこんだペットボトル。

「……大丈夫、何かぼーっとしてただけ」

「そ。なら良いけど」


ニノはそう言ってまた画面に目を向けた。
その隣でリーダーは特に何も言わないでいる。けど、何か言いたそうに見えた。
相葉さんたちは変わらずに盛り上がってる。それでイイんだけどさ。

ニノはオレが相葉さんのこと好きだって知ってる。リーダーは何となく察してるんだと思う。
翔さんは、どうだろう。妙なとこで鈍いから、案外知らないかもしれない。

相葉さんは、オレの気持ちなんか、全部分かってる。





ねぇ、翔ちゃん。
甘ったるい声と共に、肩に腕を回す。
くすくすと近い距離で笑って、偶に耳打ちする。

目を離せないでいるオレを見て、相葉さんはもっと笑う。

ぎゅうって苦しくなって、ちりちりと焦げるような感覚。
意識してないと、喚き散らしそうになる。
酷いって、何でって。

どうしてと尋ねることが出来たら良かった。
さっさと嫌いになれれば、こんなにならずに済むのに。





「潤くん、今日空いてる?」

にっこりと相葉さんがわらう。
とても楽しそうに、おかしそうに、わらうんだ。
オレのこと面白がってるんでしょ?


「ごめん、今日はムリ。また誘ってくれる?」

「そっかぁ、残念。じゃあ、また次の機会に行こうね」

つまらないとでも言いたげに、相葉さんは温度の無い笑顔を浮かべる。
その表情に、ゾクゾクと全身が痺れるような気がした。

もう、全部、あなたの思うがままだ。

あなたにとってはイイ玩具だろうけど、どうしようもなく好きなんだよ。
それも、飽きられるまで。
それまで、あと、どれぐらい?あぁ、考えたくもないや。






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