第21章 富山城、再び
『だが、いつまたどこで命を狙われるかわからないのだぞ?』
『そんな時はきっとまた信長様や皆が助けに来てくれる、そう信じています。いけませんか?』
『ああ、いいだろう。貴様がこの乱世に残り、この先も俺のそばにいて幸運をもたらす存在であり続ける限り、必ず守ると約束してやる』
(相変わらずの上から目線、でも嬉しいな)
『信長様、ありがとうございます。これからもよろしくお願いします!』
直美はこのままこの時代に残る事を自ら選択し、信長と直美にようやく心からの笑顔が戻ったのだった。
信長が広間に戻って直美の意思を謙信たちに報告すると、その日のうちに織田軍と上杉軍の休戦協定が正式に結ばれた。
休戦となった以上、直美を人質とする意味もなくなり数日後には富山城から発つのを春日山勢が見送る事になる。
協定が結ばれた後、信玄は謙信の部屋を訪れていた。