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【YOI】君と、お前と、バンケで。【男主&ユーリ】

第2章 先輩の俺


「羽田から夕方の便だから、レイトチェックアウトで午前中はのんびりできる」
「気を付けて帰ってね。今日は本当に有難う。とっても楽しかったよ。次に会えるのは、早ければ国別対抗戦かな?もっとも僕、選ばれるか判んないけど」
「…お前は、オフにフィンランドへ行かねえのか?」
「エスポーには、行くとしても夏だね。それまでユリに会えないのが寂しいな」
「いつでも連絡してくればいいだろ。時差さえ気を付けりゃビデオ通話だって出来る」
「…それでも寂しいよ」
低音の呟きに、ユーリだけでなくうっかり本音を口にした礼之自身も僅かに動揺する。
「…ゴメン。何だか僕、ユリを困らせる事言ってる。こうして一緒に過ごせるだけでも充分贅沢なのに。いつもと違う高級な雰囲気に当てられちゃったのかな?あはは」
乾いた笑い声を漏らした礼之は、隣の椅子に掛けていたコートを羽織ると、機械的に足を動かしながら部屋の入口へと向かった。
「それじゃあお休み。明日ゆっくりだからって、あんまり夜更かししちゃダメだよ」
言いながら礼之が部屋のドアを開けた瞬間、後ろから何かが引き寄せてきた。
「…ユリ?」
俯いたままのユーリの表情は判らないが、昨夜のバンケットでの服の裾どころか、礼之がドアを開けた手とは反対のそこに、ユーリの両腕が絡み付いていたのだ。
それ程力はかかっていないので、その気になれば、礼之は容易く彼の腕を解いて部屋を出る事が出来る。
けれど、そこから感じられるユーリの微かに震えた腕の温かさが、逆に礼之の心と身体をきつく縛り付けてきた。
「僕をからかったり、試してるだけならやめて」
硬質な礼之の声に、ユーリの身体がビクリと動く。
「年下だけど、僕だって男だよ。好きな人にこんな事されて、平気でいられると思うの?」
「…から」
「何?」
「礼之は、俺の……きな、奴だから……」
「…!」
今にも消え入りそうな声で返しながら、ユーリは先程よりも礼之に身を預ける。
その言葉が終わるか終わらないかの内に、ドアノブから手を離した礼之はユーリに向き直ると、無機質な音と共に扉が閉まった瞬間、彼の身体をきつく抱き締めた。


─TO THE NEXT STORY─
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